ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

栃木採集行<小来川・加蘇鉱山>その1

陽気が良くなってきましたねぇ〜
この時期は、初秋とならんで鉱物採集にはもってこいのシーズンです。
暑くもなく寒くもなく、また下草が生えていないので石が見つけやすい。これが夏になると、汗ダクダク&下草ボーボーで石探しどころじゃなくなりますから…

GWも突入したが、特に遠出の予定もない。
さて「じゃあどうしたもんか、石掘りでも行くっぺか」つうことで、
mixiのボイスで「誰か石掘りいかんか?」とネタ振りしたところ、決まったのがこの「栃木採集行」。
最初は秩父鉱山でも行こうかと思ったんだが、芝桜渋滞やら何やらの話が出て、秩父より栃木方面がいいよ〜的なノリで、栃木行きがきましました。
本決まりは、決行日2日前の4月30日。しかも具体的な場所は現地行ってノリで決めよう、しかもマイミクのTheoph氏が「案内するよ〜」的な感じ。
だもんで、大した下調べもせずに現地に向かいました。
事前下調べなしで、しかも他力本願での採集行は初めてかも…。
ちょっと心配だったが、やっぱり現地に行って、「産出する石がようわからん」的な状況になりました…orz。

集合場所は、鹿沼市郊外のコンビニ。9時半集合ね。
GWまっただ中に5月2日の決行なので、道路状況が全く読めないため、同乗者のマイミク「ふじねこさん」には、さいたま新都心駅に6時半に来てもらいました。
ランデブー後、ほどなく出発。
とりあえず東北道岩槻インターを目指します。
7時ちょっと前に岩槻インターに到着したが、電光掲示板には「岩槻インターより渋滞30キロ」の文字が…。 げっ!
予想はしていたが、ここまでだとは…。
仕方なく、岩槻インターをそのままスルーして、16号線を東へ、春日部から4号線をつかって北上することにした。こちらは道がガラガラ…。1時間ほどで古河まで来て、そこから県道を使って集合場所の鹿沼のコンビニには9時前に着いた!
下走ってもたいして時間かからないのねぇ〜。

9時半までに入間隊、蓮田隊の2隊も到着。今日のメンツは、入間隊3名、蓮田隊2名、そしておいら達さいたま隊2名の総勢7名です。
さっそくコンビニの駐車場でみんなで協議して目的地の選定しました。
その結果、銅の二次鉱物で有名な小来川鉱山と、マンガンで有名な加蘇鉱山、あと時間があったらもう一個所ぐらい、ってことで方針が決定。
コンビニで弁当を買って、早速、小来川鉱山へ向かいました。


さて、採集の状況を述べる前に、この地域(栃木県南西部付近)の地質状況について概観しましょう。
この栃木県南西部の足尾山地は、足尾帯と呼ばれる第三紀以前のジュラ紀白亜紀の付加体からなり、そこに沢入花崗岩や板荷花崗岩などの深成岩の貫入、第3紀以降の火山噴火による火山岩の存在、という基本構造をとっています。
足尾帯は主に海洋プレート上に堆積した堆積岩ですが、海底で堆積したマンガン団塊も含んでおり、これがこの地域のマンガン鉱床の由来になっています。さらにこのマンガン鉱床は、前述の貫入した花崗岩からの熱によりヤケド(熱変成)した部分もあります。この地域は、こういった堆積性マンガン鉱床と熱変成を受けたマンガン鉱床からなっています。今回行った加蘇鉱山は熱変成を受けたマンガン鉱床に属し、こういったタイプのマンガン鉱床はバラ輝石をのようなマンガンの珪酸塩鉱物が多いのが特徴です。
足尾帯への深成岩の貫入や火山活動は、熱水の発生させ、この熱水起源の鉱床もたくさんあります。最も大規模なのが足尾銅山ですが、それ以外にも小規模ながらたくさんの銅、鉛、亜鉛タングステンモリブデンなどを採掘していた鉱山がありました。今回行った小来川鉱山はこういった熱水鉱床のひとつです。

さて前置きが長くなったけど、鹿沼のコンビニを出発すると、登るのに時間のかかる小来川鉱山をまずは攻めることになった。


<小来川鉱山>
鉱物マニアのバイブル(う〜ん旧バイブルといったほうがいいか、旧バイブルじゃ旧約聖書だな、あはは。今のバイブルは「鉱物観察ガイド」かな・・・)
「鉱物採集フィールド・ガイド」草下英明、1982、草思社
にものっている、ちょ〜有名な産地です。
この本、ぼくは高校生ぐらいの時(もう20年以上前だ…orz)に買って、隅から隅まで熟読したんだが、ずっとあこがれていた産地です。孔雀石などの銅の2次鉱物が採れると記載されており、高校の頃からどんなカラフルな石が採れるんだろうと、心躍らせたものです。

銅の二次鉱物とは、銅が酸化して出来た鉱物、つまりリョクショウみたいなやつです。だからその鉱物の色は、錆びた十円玉とかブロンズ像のような青や緑の色合いとなります。それがたくさんあるので、まさにミドミドパラダイスです。

90年代に鉱物採集にドップリだった頃、なぜか群馬・栃木方面の北関東の産地にはいかなかったんだよなぁ〜。なんでだろうか…。当時、住まいが東京で心理的に遠いというイメージがあったからなのか…。
だから、大昔から知っていたのだが、今回、初訪問となりました。

小来川温泉から日光に抜ける峠道の途中で車を停め、鉱山へと通じる林道を徒歩で向かいます。



車を停めて林道へ



うち捨てられた重機、コマツのPC20だねぇ



ほどなく、鉱山機械の残骸がちらほら見かけられる(これは巻き上げ機だね)




ズリの中間、トロッコの転がるあたりでますは採集。
この辺りは二次鉱物より初成鉱物が多かったな。それでもミドミド・アオアオもいくらか転がっていました。
ここに放置されていたトロッコは正方形ではなく台形の形をしています。軌道の斜面が急なために斜面に合わせて車体を設計したようですな。



さらに登ると、途中インクライン(鉱山用の軌道跡)が見えます。
ここの軌道は、2レールの間にもう1本、ちょうどアプト式のラックレールみたいなレールがあるんだよなぁ。

アプト式ラックレール
http://www.gijyutu.com/ooki/isan/isan-bunya/usuisen/rail.htm
http://www.komoro.or.jp/rakku.html

でもラックレールみたいな山型のギザギザがないんだよねぇ〜。
真ん中にレールはラックじゃなくて、トロッコが滑り落ちるのを防止するガイドみたいなもんかな。なんていうんだろ〜、これ。エンドレスロープ式の軌道でもないし…。

エンドレスロープ式軌道
http://rail.hobidas.com/blog/natori/archives/2006/04/post_242.html

この本にも記載がないんだよなぁ↓
全国鉱山鉄道
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/4533039812.html

誰か詳しい人がいたら、教えてください。



ズリの上部はこんな急斜面!登るのが結構たいへんだったな…。



上部ズリのさらに上には坑口が…。
坑口に入ってみたが、ライトを下にデポしたザックの中に置いてきたので、20mくらい進んでくらくなったところで引き返してきました。ほとんど尾根に近いところなので、土カブリが少ない分、土圧がかかっていないようで坑道はわりとしっかりしてました。


尾根上に登って反対側の景色。
方向的には中禅寺湖方面かな…。
尾根の反対側にもズリがあるらしいが、植林がびっちりされていて確認できませんでした。

ズリの上部でお昼ご飯を食べながらひとしきり採集をした後、小来川鉱山を後にしました。
最終成果については、次の日記で…

つづく
栃木採集行<小来川・加蘇鉱山>その2
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20100511

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