ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

長野県小谷温泉

前回のつづきです。

<前回の日記>
黒部峡谷トロッコ列車2 <家族旅行2013夏 その5>
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20130907


宇奈月温泉ですっかりウダウダしてしまったので遅くなり、16時近くになって宇奈月温泉を離脱。
一路、長野県小谷村の小谷温泉山田旅館に向けてひた走ります。
まずは、宇奈月温泉から北陸道黒部ICへ、ここまでは30分もかからずに到着。
黒部インターから糸魚川インターまでは高速道路です。
糸魚川インターまではほんの40キロほどですので、すぐです。
糸魚川からはひたすら国道148号を南下です。



糸魚川・小谷周辺図>


新潟県糸魚川市に長野県北安曇郡小谷村と隣接しているので、となりまちです。
とはいえ、山が迫る姫川沿いの狭い谷を遡上していくことになり、どれぐらい時間がかかるのか未知数。ロードマップでは糸魚川インターと小谷温泉は見開きページに収まるんですが…

姫川沿いのこの国道は、一度、ボクが小学5年生の時に通ったことがあります(南小谷糸魚川間に限ってですが・・・)。あのときの印象はとにかく狭くてひどい道というものです。でもあれから30年経っていますし、その間に大水害とかもあったんで、道は改良されているはず・・・

糸魚川市街を抜けて、姫川の谷筋に入っていくと・・・
道はずっといいんですが、もうスノージェットの嵐、嵐、嵐・・・
あ、スノージェット知らないですか?
雪崩よけのあれですよ、コンクリート構造物 ↓

スノージェット
http://www.photolibrary.jp/mhd1/img177/450-2010103022505842810.jpg
http://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/road/kondan/20021107/siryo01/06_4.html

このスノージェットが何キロも続くんですよ、この道。
こんなにずっと続く道なんて見たことない、いや、奥只見ダムのあたりぐらいか・・・

こんなにスノージェットが必要なほどの豪雪地帯ということですよ、ここは。
ほどなく、県境の糸魚川市平岩付近に到着。



糸魚川市平岩付近より南を見る>



糸魚川市街地図(平岩付近)>


この時点で17時になりかけていたので、一応、宿には電話。
17時頃行く、と伝えていたので・・・
宿の方から、「じゃああと30分くらいですね」との返答。え〜、まだこっから30分かかるのか・・・
意外と遠い・・・

小谷温泉は姫川沿いではなく、姫川の支流、中谷川を8キロほど遡ったところにあります。
小谷温泉入口という信号で左折して、国道とは別れ、山道をひたすら登ってゆきます。

そして、17時半頃、ようやく宿に到着。



<小谷温泉から中土方面(姫川本流方面)を見る>


いやぁ、ホント、山んなかです。
雨飾山のの真下ですな。


小谷温泉山田旅館公式HP
http://www.otari-onsen.com/index.php?FrontPage

小谷温泉山田旅館に関するHP
http://www.geocities.jp/nara_no_daibutu2/spa3/33-otari-yamadaryokan.html
http://www.a-spa.co.jp/totugeki/yamadaryokan/totugeki-kotani_yamada.htm


なんでこの温泉を選んだのかといえば、

黒部峡谷鉄道に近くて、かつ埼玉県に帰る途中にある温泉いいな」
 →「その条件だと新潟県か長野県だな、でもやっぱり長野だよなぁ」
 →「でも長野はすでに行ったことあるとこばっかりだな(子供の頃、松本に住んでたし・・・)」
 →「いや、待てよ、白馬以北の温泉って行ったことないよなぁ」
 →「そういや、小谷村に温泉あったよなぁ・・・」

という論法から、小谷村に白羽の矢が立ち、そこからググってここを選定したわけです。

で、結論から言えば、この「小谷温泉山田旅館」は大当たり!!!
近年まれに見る大ヒット旅館です。素晴らしい!

ロケーション良し、歴史あり、お湯(泉質)に力あり、料理がおいしい、部屋良し、ホスピタリティ良し、非のつけどころがない。定宿にしたい旅館ですね。

では、この山田旅館を紹介しましょう。
山田旅館は、川中島合戦の際に武田信玄により発見された温泉が発祥らしく、450年もの歴史があります。で、これは伝承ではなく、しっかりと当時の領主からの安堵状などの古文書が残っていて確かなようです(資料館に飾ってあります)。

で、この山田旅館は大きく3つの棟で構成されていて、手前から本館、新館、別館となっています。おのおのの創建年代は、本館・・・江戸時代、新館・・・大正3年、別館・・・昭和63年だそうな。



<山田旅館本館正面>



<山田旅館玄関>



<山田旅館、新館(右)と別館(左)>


で、まあ明治時代にドイツで行われた霊泉万国博覧会にお湯が出展されたそうな。
そのときの看板がこれ↓


<独逸(ドイツ)霊泉万国博覧会出展の看板>


中の様子はこんな感じ、廊下も年代もんです
この廊下は大正時代に建築された新館の部分↓



<新館の廊下>


そして江戸時代に建てられた本館は国の登録有形文化財に指定されているそうな。
でもちゃんと泊まれるようなんですよw ↓



登録有形文化財の銘板>



<本館(江戸期建築)の客室>


そして、どうも昔、白馬地域で最初のスキー場がこの小谷温泉にあったようなんですよ。
そのときのポスターがこれ↓(昭和初期の話らしい)



<在りし日の小谷温泉スキー場ポスター>


ここの2代前の御当主、山田寛さんって方が、長野県のスキー黎明期にスキーを広めた方だそうな。
で、古文書とか古い看板とか昔のスキーなどは同じ敷地内の資料館に収まっています。
↓資料館(宿泊者は見学無料でした、でも時間が無くて見れなかった)



<小谷温泉山田資料館>


とまあ、こんな感じの旅館でしたが、部屋にこのような書籍があって・・・



<『小谷温泉賛歌』の表紙>



<『小谷温泉賛歌』の奥付け>


パラパラ、っとめくったら、小谷温泉の歴史から、2代目の御当主山田寛さんのことが書かれた書籍で、これがなかなか面白そうだったのでチェックアウト時の購入してしまいました。
購入時におふくろが誕生日プレゼントだと称してお金を出してくれました(8月17日が誕生日でした)。ちなみに定価は税別で1800円です。
いま読んでいて、もうすぐ読み終わりますが、非常に面白い本でした。
由緒ある旅館の日常生活を含めた有り様を記した貴重な生の資料という感じです。

なお、泉質は上記書籍の276頁にある「温泉分析表 平成6年10月31日」によれば、

 陽イオン総量 778.7mg/kg (うち、Naイオン 707.8mg/kg、Caイオン 41.9mg/kg 他)
 陰イオン総量 2065mg/kg (うち、炭酸水素イオン 2007mg/kg、塩素イオン 57.6 mg/kg他)

で、ナトリウム・炭酸水素塩温泉に属します。
結構、イオン総量が多くてしっかりした濃いぃ温泉で、かつ炭酸水素イオンがメインで、硫酸イオンはほとんど入っていない、比較的皮膚にやさしい温泉って感じでした。

本館、新館、別館のいずれも泊まることができますが、
本館、新館は古い造りで廊下とはふすま一枚で仕切られています。
一方、昭和に建った別館はいわゆる今風の部屋の造りです。
予約時にどちらにしようか迷ったのですが、子連れということもあって、今風の造りの別館にしました。本館・新館に比べ、別館が少し割高になっています。

料理は、地の材料を使ったもので、いわゆる「旅館の料理」のようなゴージャス材料を使った感じではなく、地の材料を丁寧に料理した非常においしいものでした。
ぼくはゴテゴテした料理よりも、こっちのほうが好きですねぇ・・・

とまあ、こんな感じで非常にいい旅館に出会えてよかった・・・
うちの奥さまもおふくろさんも満足してくれました。

つづく

八方尾根(1)<家族旅行2013夏 その7>
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20130910