ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

『爆笑問題のニッポンの教養』

ぼくのお気に入りのテレビ番組のひとつがこの
爆笑問題のニッポンの教養』。
NHKで総合で火曜午後11時から放送されていて、お笑いの「爆笑問題」の二人が大学とか研究所の一流研究者を訪ねて、対談(討論かな)をするというもの。

番組ホームページ
http://www.nhk.or.jp/bakumon/

ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%88%86%E7%AC%91%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%81%AE%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%9D%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%95%99%E9%A4%8A

この番組ついて、以前からブログに書きたいなぁ、と思っていたんだけど、今日ようやく重い腰をあげて・・・。

この番組のすごさは、やはり爆笑問題の太田のつっこみにあると思う。
日本の一流研究者を相手に、あの切り口でするどく迫ってゆく彼のスタンスは、とにかく凄い。「太田、あたまいい!」ってホントに思ってしまう。

基本的にこの番組は爆笑太田が哲学的な切り口で、相手の研究者を質問してゆくという流れですすむ。その研究者の研究が本質的には何なのか、と。このとき、研究者の自分の研究へのスタンスが見えてくる。ここで面白いのが、その研究者がどのような態度で自分の研究に向かっているかが見えてくることだ。

この時に見えてくる研究者像は、2つのパターンがある。
1)研究対象の本質を常に考えて研究している「学者」タイプ。
2)研究対象のデータとか理論の蓄積といった手法にしか興味がない「職人」タイプ。

1)のタイプの研究者(以下、「学者」)があたった回の場合には、総じてこの番組は面白い。爆笑太田のその研究者の研究の本質について問いかける哲学的な問いに対して、研究者が応戦できるからだ。学者タイプが相手である場合には、爆笑太田はアクセル全快、活発な議論が行われ、面白い回になる。

2)のタイプの研究者(以下、「職人」)にあたった場合には、総じてつまらない回になる。爆笑太田の質問の意味を「職人」は理解できないようで、得てして言葉のキャッチボールの体をなさない、チグハグな議論となる。

2)のタイプが多いなぁと思う分野は、宇宙論理論物理学者の世界。目の前にある現象や理論がこの世界に客観的に「ある」こと前提にしている研究者が多すぎて(まあ当たり前なんだろうが)、宇宙論理論物理学の客観性の根拠を一度も疑ったことがないんだな、って感じの研究者が多い。こういうタイプの研究者にその客観性の根拠を問いかけるような質問を爆笑太田がすると、大抵のこのタイプの研究者は「これだから馬鹿は困る」みたいな対応をする。物理学という形而上学が相当強固な確信の上に成り立っているということがよくわかります。

まあ、このような質問を投げかける爆笑太田を見ていると、彼は現象学や実存の考え方を理解しているんだな、って思う。全体的に言えることだけど、爆笑太田は実存の立場から物事をみているな、って思うことが多い。僕自身が、現象学とか実存の立場からのものの見方を好むため、この辺がよく見えちゃうのかもしれないけど。

1)のタイプはやはり、哲学者や言語学者とかが多いかな、もちろんだけど。しかし、意外だなと思ったのが、分子生物学とか生態学とか生物系の学者が案外実存的な視点を持ち合わせた1)のタイプが多いことだ。あと複雑系の先生もそんなかんじだったな。

まだまだ書き足りないので、『爆笑問題のニッポンの教養』ネタはまた書きます。
ひょっとすると、シリーズ化するかもしれんが・・・

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