ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

特許っつうもんは...

どうも、知財に移ってはや一ヶ月たちました。
最近毎日特許三昧です。先週なんて特許がらみの講習会ばっかりでしたよ。火木金は一日中講義聞いてました。だから水曜からブログが滞っていたのはそのせいです。
さて、講習会の中身は、火曜日は特許検索関連、木曜は日本の特許、金曜は国際特許についてのものでした。まあ一番面白かったのは金曜の国際特許の講習会ですな。先生が面白かったこともあって、居眠りすることもなくかなりガッチリ勉強してしまいました。国際特許なんてウチはほとんど出さないのに詳しくなってもしょうがないんですがねぇ〜。
各国の特許事情、国際出願、パリ条約、欧州特許条約について午前中は講義が行われました。ヨーロッパは各国で審査しないでヨーロッパ特許局みたいなところが一括で審査しているんだよねぇ〜。
でもこの講義のハイライトは午後の講義。午後はまるまるアメリカの特許制度についてでした。アメリカっつう国は特許の分野でもかなり勝手な国で、世界でもっとも変な特許制度をもっているんだよね。だからそのせいで講師の先生もかなり苦い経験をしてきたみたいで、悪口のオンパレードでした。
まあ悪く言っているつもりはないらしいけど、やっぱり変だよアメリカっつう国は。世界で唯一「先発明主義」を取る国です。初めて発明した人に特許をやる、って考え方なんだけど、当たり前なんだけどこれは制度運用がかなり難しい方法です。アメリカ以外の国は「先願主義」といって、出願の早い人に特許を与える制度です。このほうが現実的。だって初めて発明したという証拠を示すのって難しいでしょ?
さらに特許法自体、明らかに米国内居住者を優遇している制度で、それが条文にもなってしまっているし。特許の国際法のパリ条約も加盟しているくせにその条文を無視した法律もあるし。パリ優先権といってA国で国際出願すれば、その後B国に出願した場合でもA国の出願日をB国での出願日にすることができるって制度があるんだけど、これも守っていません。この時間的な猶予は翻訳の時間をあげるよ、っていう意図なんだけどね。
パリ条約では、例えば日本で2004年1月1日に国際出願した場合、1年以内、すなわち2005年1月1日までに他の国(B国)に出願すればB国でも2004年1月1日に出願したと見なしてくれるわけ。だからB国の国内で2004年2月1日に同じような発明の出願があっても前者の出願の方を先だと見てもてくれるんです。
だけどアメリカの場合は、あくまでも国内出願した日を基準日にするんで、例えば前の例でアメリカでの出願を3月1日にしたら、国内の2月1日のほうの発明を先とみなすんですよ。あ、正確には発明日なんでもっと事態は複雑なんですが...。
あ、かなり中身に入ってしまいましたね。これ以上中身を説明しても、興味のない人には面倒な記述になるだけなのでこの辺でやめときます。
いずれにしてもアメリカはかなり身勝手な国です。自国の国内法を域外にも適用させようとするらしいです。まさにアメリカリゼーションをグローバリゼーションとはき違えてる国です。こまったもんです。
あ、今度は「特許=知の囲い込み」について書きたいと思います


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