ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

押入れで”石”が誕生!!

タイトルを見て、「え!マジ!」って思うでしょうけど、ホントの話。

鉱物採集が趣味だったと前回の日記でカミングアウトしたけど(いや、べつに隠してたわけでもなく、ホームページのプロフィールには10年前から書いているんだが)、当然、家には(実家も含む)たくさんの石が保管してあるわけです(鉱物マニアの間では「貯鉱」といいます)。
先日秩父鉱山に行ったことがきっかけで、久々に標本整理でもしようと思い、実家の押入れの中にしまってあった石を出してみた。
そしたら、2000年頃に伊豆のある金属鉱山(ネットで公表すると産地が荒れるため、場所はひみつ)のズリ(坑道を掘った際のいらない石を捨ててあるところ)で見つけた鉱石にカビのようなものがついていることに気が付いた。
この鉱石は母岩が安山岩か凝灰岩で、その中に硫化鉱物(黄鉄鉱とか黄銅鉱とか)がたくさん散らばって入っている鉱石です。その黄鉄鉱の部分に針状のカビのような結晶のようなものがビッシリと生えているのです。なんじゃこりゃ〜。
最初カビかなと思ったんだけど、ルーペで見るとどうも針状の結晶っぽい。しかも無色透明。さらに実体顕微鏡でも見てみると、石綿みたいな感じの繊維質の結晶であることがわかった。


【上の写真】針状結晶ができた鉱石。よくみると右側のはじの方と真ん中よりちょっと左あたりに、毛のようなものがみえるでしょ?これが結晶。
ちなみにキラッと光っているつぶみたいなやつは黄鉄鉱の結晶。


【真ん中の写真】右側のはじの毛の部分を拡大したもの。


【下の写真】針状結晶を拡大したもの。

よく、閉山した鉱山に野ざらしにほってあった鉱石が酸化して、他の鉱物に変わることはあるが(二次鉱物っていいます)、押入れの中で石ができたなんて、聞いたことがない。
なんだろなぁ〜
つうことで、いろいろ調べてみた(二週間ほど)。
最初、沸石(ゼオライト)かとも思ったが、常温常圧でしかも水のないとこで沸石ができるとは信じがたい。

参考:モルデン沸石
http://www.h5.dion.ne.jp/~nspicnic/mine/sample/mordeniteYANDA.htm

できた場所が、硫化鉱物のまわりっつうことは、硫酸塩か?
つうことで、いろいろ調べてみてたどりついたのが、これ↓

http://www.weblio.jp/content/%E9%89%84%E6%98%8E%E7%A4%AC
http://www.asahi-net.or.jp/~ug7s-ktu/halotr.htm

鉄毛ばん(鉄明礬)っつう鉱物です。
この鉱物の化学式は、Fe2+Al2(SO4)4.22H2O 
(上付き下付きの文字が大きくなってしまって見にくくてすいません)

つまり、鉄とアルミの硫酸塩ってことね。
もともとついてた黄鉄鉱の化学式は、FeS2 だから、この硫黄が硫酸塩になったんなら容易に想像がつく。

もう一個の候補はこれ。
http://www.weblio.jp/content/%E8%8B%A6%E5%9C%9F%E6%AF%9B%E3%81%B0%E3%82%93

苦土毛ばん(苦土明礬)っていいます。
化学式は、MgAl2(SO4)4・22H2O 。
先ほどの鉄毛ばんの2価の鉄イオンがマグネシウムイオンに置き換わっただけです。
マグネシウムならその辺に普通にあるので、こちらかもしれない。

姿が似てるんでようわからんが、黄鉄鉱のすぐそばにできているから、鉄毛ばんの可能性が高いかな?

この結晶をお茶にでもいれてみて、色が変わったら、鉄毛ばんだね、たぶん(お茶のタンニンは鉄イオンと反応する)。
さっそくやってみよっと。

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