ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

元厚生事務次官殺傷事件

ぼくが時事ネタをブログで書くなんて珍しいでしょ。
よく世俗を超越している、と言われるくらい(もちろん、呆れられてですが)、世の中の動きにあまり惑わされずにマイペースで生きているもんで…
そんなオイラが、今朝起きがけにふと考えてたのがこの事件。
何で起きたのか理解できたような気がしたんです。
そこでブログに書くことにした(珍しく時事ネタを)。

まあ巷では、黒幕がいて彼は身代わりだとか、犯人が狂ってるだとか、いろいろと憶測が飛んでいますが、
そういうのを全部置いといて、純粋に
「飼っていた犬を殺した保健所に対する恨みから、元事務次官を襲った」
という報道発表された動機から彼の心理状況を分析してみた。

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「30年以上前に保健所に犬を殺された」から、「厚生事務次官襲撃」にいたる論理について。
彼はこう考えたのではないかと思う。

「保健所に犬を殺された」→「なぜ犬猫は保健所で殺されなければならないのか」→「人間の公衆衛生のため?狂犬病対策?」→「人間の身勝手ために犬猫の命を奪っていいのか」→「この保健所という制度が悪い」→「制度を作って、それを運営するのは誰か?」→「厚生労働省

こうして「保健所で犬猫を殺している真の原因は厚生労働省にある」と考える。
保健所での犬猫の殺傷をやめさせるには、どうしたらいいのか?
制度を作り運営している厚生労働省のトップを襲撃する。

これが論理的な帰結。この辺まではまあ容易に想像はつく。
ここから、実際に襲撃に至るまでには大きな障壁がある。
それはその襲撃という行為に対する正当性。

行為の正当性に対する論理的な補強はこうだったと思う。
「犬猫にも人間と同様に生存する権利があるはずだ」→「保健所の制度は犬猫の生存の権利を奪い虐殺した」→「いまこそ立ち上がり、犬猫の生存権を主張する」→「保健所制度の親玉である事務次官に対してテロを行う」

彼にとっては、「犬猫の生存権をかけた戦争である」、と大義名分がつく。
これに拍車をかけるように「年金問題」や「薬害問題」など、厚生労働省が悪の根源であるような情報がマスコミなどからもたらされ、彼の確信の補強につながる。そして彼は決行した。

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まあ、こんなとこかな?
実際にこういう考え方をしたかはわからんが、当たらずとも遠からずだと思う。
国立大の理工学部にいたような、ある程度アタマのよい種類の人たちはあまり衝動的な行動をせずに、少なくとも自分で自分の行為を論理的に正当化してから行為に及ぶことが多いと思う。
社会的に見てどんなに曲がった論理であっても、少なくとも自分の中では自分の起こす行動に対する合理的な論理付けが必要なんだよね。
社会的価値観ではもちろん人間の命は最も尊いものだが、彼の価値観の中では人間の命と動物(特に犬猫)の命が同等ぐらいに尊いと考えていたとしたら、何万もの犬猫の命を奪う保健所は極悪施設だと考えるのかも知れない。

彼にとっては、現行の保健所制度に対する異議申し立て行為だったのかもしれん。
だから、捕まってもあんなに堂々としていられるし、証拠品をどっさり持って出頭したのかもしれん。
自分の命よりも、保健所の今の行為をやめさせることの方が大事なのなら、死刑すらかまわないのかもしれん。
子供の頃、正義感の強いかった、という報道があるが、その持ち前の正義感がこのような方向に向かったのかもしれん。

ここまでの話は、あくまでも報道されていることが事実であればの話だけどね。
長々と書いてしまったが、オイラの分析をつらつらと書きましたとさ、おしまい。

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