ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

mixiコミュのミニ採集会@南房総<序>

この前の日曜日(3月14日)、南房総でミニ採集会がありました。

この採集会を開くきっかけになったのはこれ↓


いちご狩り@南房総、そして…やっぱり鉱物採集
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20100126


この日記を見て、マイミクのMaNi-さんが「是非行きたい!」つうことで、早速ミニ採集会が企画されました。当初2月に決行予定でしたが、雨で流れ、3月のこの日となりました。

今回のターゲットは、鴨川から安房勝山にかけてのいわゆる嶺岡帯に産する鉱物です。その採集日記を書こうと思うのだが、その前にまずはこの嶺岡帯についての序論をかいたほうがいいかなと思って、タイトルを

mixiコミュのミニ採集会@南房総<序>」

としました。
次のタイトルは、<破>とかつくのかな…w
ヱヴァンゲリヲンじゃないっつうの。

まず場所ですが、
場所のイメージはこんな感じ (赤く大きく囲んだところが嶺岡帯)



嶺岡帯は、東の鴨川から西の安房勝山にかけてという東西20キロ南北5キロにわたる第三紀付加体で、時代的にはだいたい5000万年前±2000万年ぐらいの構造帯です。
「付加体」とは、太平洋プレートにのっかってきた遙か東の地殻が、西へ移動してきて(ちょうどベルトコンベアみたいなイメージ)、そのプレートが日本海溝に潜り込む際、日本海溝でアジアプレートにガリガリ表面を削られた削りカス(カンナくずみたいなやつ)がアジアプレート上にひっついた塊みたいなイメージです。


付加帯について詳しいサイト
http://www.osk.janis.or.jp/~mtl-muse/subindex03-04jurassiccomplex.htm


↓ここには嶺岡帯ついても記載があります。
http://www.geocities.jp/horiuchihiroe/tishitu/tishitu3/kenkyu/fukatai.html
http://www.f2.dion.ne.jp/~nhirano/mineoka.html


ですので、嶺岡帯を構成する石は、遙か東の太平洋の海底で積もった地層や海底火山の噴出物、溶岩、またはそれらが長い時間かけて変質した石で構成されています。
特に今回の産地では、それらは海底火山由来の玄武岩質枕状溶岩、マグマ由来の橄欖岩から変質した蛇紋岩(これは嶺岡林道上のグリーンの岩石)、はんれい岩(黒い花崗岩みたいな石)からなります。

で、今回訪れた産地は、上記の地図上の3ヶ所。
右から、鴨川市太海海岸、嶺岡林道(嶺岡山地の稜線上を走る林道)、そして平久里です。
まあ、昔から有名な古典的な産地ですが…


そして今回のターゲットは、主に玄武岩質枕状溶岩中の沸石およびそれと類似した組成の鉱物になります。ほとんど白か透明な鉱物ですな。
金属はほとんどでない"珪酸塩祭り"です。最近、ギンギンギラギラの金属鉱物に食傷気味ですので、たまにはこういうのもありです。


沸石(ゼオライト)つうのは、いわゆる「含水アルミノ珪酸塩」ってやつで、曹長石に水が含まれたものってイメージです。曹長石などの長石のグループは、花崗岩やなにかのマグマ由来の火成岩とか変成岩には普通に含まれていてたいして珍しかないんですが、それが含水して沸石になるには長石とは違う特別な条件が必要です。
その条件ってのは、「マグマが水がたくさんあるところで急激に冷えて固まる」っていう条件です。水の少ないところで徐々に冷えて固まれば長石なんかのありきたりな珪酸塩になるのですが、この「水リッチで急激」って条件があることで、沸石になるわけです。
その条件の場所ってのは、そう、「海底火山」です。
沸石が含まれる石は海底火山で出来た石なんです、はい。今回の産地も海底火山由来の玄武岩質枕状溶岩の中に沸石がふくまれます(一部、凝灰岩もありますが、凝灰岩は火山灰が固まった石なので同様に火山由来です。)。


で、海底火山の場合は、マグマが冷えて固まるときにある水は海水です。海水には様々なミネラル(ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、その他たくさん)が含まれていますから、それらのミネラルが沸石生成の際に取り込まれる。それにより様々な組成の沸石ができるわけです。
ちなみに鴨川太海(松島海岸)で採れる沸石には以下のものがありますが、

方沸石  Na[AlSi2O6]・H2O
ソーダ沸石  Na2[Al2Si3O10]・2H2O
トムソン沸石 Ca2Na[Al5Si5O20]・6H2O

みなナトリウムNa、カルシウムCaなどもミネラルを含んでいます。
沸石の特徴は、アルミノ珪酸塩(アルミAl、ケイ素Si、酸素Oを含む)で、かつ結晶水として水を含む(一番うしろのnH2O)です。
ちなみに前出の曹長石は NaAlSi3O8 ですので、水が含まれていないだけの違いだということがようわかります。

とまあ、ここまで序論を書いてきたが、実はもっとごちゃごちゃ書きたいのだが、鉱物マニア以外の読者を置いていくことは明らかなので(もうすでに置いてっているっていうツッコミは聞こえていません)、そろそろ本論に入りたいと思います。

つづく

mixiコミュのミニ採集会@南房総<壱>鴨川松島海岸
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20100318

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