ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

八ヶ岳山行2010<5>赤岳→中岳→赤岳→天望荘

前回の続きです。

八ヶ岳山行2010<4>横岳(奥の院)→天望荘→赤岳
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20100927


前回は、赤岳山頂まで書いきました。
赤岳山頂からは、とりあえず阿弥陀岳を目指すことに・・・。



ルート図 <赤岳天望荘→赤岳→中岳→赤岳→赤岳天望荘>


登山道は、赤岳(南峰)より一旦南下します。ハシゴを2つほど下り、そこで南へ向かう権現岳キレット方面の道と、西へ向かう阿弥陀岳方面への道に分岐します。



<赤岳南峰より権現・阿弥陀岳方面への道>


権現岳への道と別れ、阿弥陀岳へ向かう道はひたすら赤岳と中岳との鞍部に向かっての急降下、しかも上部は岩場で、クサリ場の連続です。横岳の縦走路のクサリ場よりもちょっとこっちのほうがグレードが高いかな・・・。



<赤岳より阿弥陀岳方面へ。赤岳上部は岩稜帯を急下降>



<赤岳より阿弥陀岳へ。赤岳上部岩稜帯はクサリ場の連続>


下りながら、南の方をみると、権現岳キレット方面の山並みがよく見えます。



<赤岳より阿弥陀岳への道から見た権現岳キレット方面のながめ>


岩場が終わると、行者小屋へ降りる文三郎新道との分岐があり、そこから下はザレ道にかわります。ザレ道をジグザグにひたすら鞍部に向かって下ります。



<赤岳より阿弥陀岳へ。上部の岩場が終わりガレ道に。中岳と阿弥陀岳へ道は続く>


正面を見ると、中岳、そしてその後ろに阿弥陀岳の巨大な山容が控えています。
あそこまでいけるかなぁ・・・
鞍部まで降りると、今度は中岳を登って降りて、降りたところが「中岳コル」、さらにその「中岳コル」から阿弥陀岳山頂まで登り30分、下り25分、合計約1時間を要します。
時刻はすでに13時をまわっています・・・



<赤岳より阿弥陀岳へ。赤岳上部の岩場を振り返る>



<赤岳より阿弥陀岳へ。赤岳上部の岩場を振り返る。下ってくる人々>



<赤岳より阿弥陀岳へ。これから行く道を望む。手前は中岳、奥は阿弥陀岳


そして、ようやく赤岳と中岳の鞍部まで到着。
振り返ると、赤岳の巨大な山容が・・・
よく降りてきたなぁ〜(でも、また登り直さないと宿泊場所には帰れないが・・・)



<赤岳と中岳の鞍部まで到達。赤岳を振り返る>


ちなみに24年前、同じ場所で写真を撮っている。
そのときの写真はこれ↓


<1986年の八ヶ岳山行。赤岳直下(中岳との鞍部より)。>


ほとんど変わってないかなぁ…



<赤岳と中岳の鞍部で休憩>


鞍部でひとまず休憩。
時間は13時45分。さてどうするか・・・
14時にこの鞍部を出発すると考えると、
 ・中岳を越えて中岳コルまでは30分、
 ・中岳コルから阿弥陀岳往復に1時間、
 ・中岳コルから赤岳山頂まで1時間半、
 ・そして赤岳山頂から赤岳天望荘まで20分、
合計すると・・・、2時間20分!!
これは休みなしでいったコースタイム。
今までは案内本より早いコースタイムで歩いてきたが、
疲れていると予想されるので(何せ、朝6時半前から歩いてますから)これよりもかかると考えて、3時間と見積もる。
14時+3時間で・・・、17時!!
3000m近くある山の稜線で17時はマズいっしょ!
ってことで、阿弥陀岳はあきらめよう、ってことに・・・。

とりあえず目の前の中岳の山頂だけには行っておこう、ってことになり、
鞍部に荷物をデポして(置いてってことね)中岳山頂を目指しました。

中岳山頂には10分ほどで到着。



<中岳山頂より阿弥陀岳を望む。あそこまで行きたかったな・・・>


中岳山頂にて、今日一日を振り返る。中岳山頂からは硫黄岳から横岳、赤岳、そしてこの中岳までの稜線を見渡すことができた。
ああ!あそこから来たんだな・・・
15年ぶりの本格登山、24年ぶりの八ヶ岳訪問。
24年前、ぼくは確かに同じルートを通って、この中岳の頂上を踏み、そして阿弥陀岳に登頂した。
なんか感慨深いな・・・


1986年の山行の時の阿弥陀岳での写真があった…



<1986年の八ヶ岳山行。阿弥陀岳山頂。>


背景が曇っていてようわからんが、確かに頂上に登っているな…


↓無理矢理パノラマ写真作ってみた
中岳山頂からではなく、赤岳-中岳鞍部からの眺めだが、まあ中岳山頂からもこんな感じかな。
一番左の写真はちょっと無理矢理ひっつけちゃった(真ん中と右の写真は同じ場所・同じ時間だが、一番左は場所とタイミングがちょっとずれてる)



<赤岳-中岳鞍部からのパノラマ(無理矢理作った…)>


写真、一番右が赤岳、真ん中の岩山が横岳の岩峰群、左奥のこんもりしたのが硫黄岳。
硫黄岳の後ろにフタコブラクダのように天狗岳のピーク、そして一番左奥に蓼科山が見える。
ぼくらは左奥の硫黄岳から横岳、赤岳と歩いてきて、いま、ここにいるんだな…


つかの間の感傷のあと、中岳山頂を後にする。

ホントは、今晩の宿が麓の行者小屋なら阿弥陀岳登頂も可能であったが、今宵の宿は赤岳天望荘。
赤岳天望荘に泊まるのには理由があった。
それは、弟の会社の同僚のTさんが1日遅れで単独赤岳山頂を目指していて、頂上で落ち合う、という約束をしていたからだ。だから、これから赤岳に登り直し、Tさんを探さなきゃいけない。
まあ、頂上にいなくても、天望荘までいけばあえるだろうが・・・



<中岳から鞍部への下りより、赤岳山頂を望む>


中岳山頂から鞍部へくだっていると、正面に赤岳山頂までの道の全貌が見渡せる。
上の写真↑。結構すごい登りだよね。
どのくらいかかるのかなぁ〜



<鞍部より赤岳山頂方面を望む。これを再び登り直す・・・>



<鞍部より赤岳山頂を目指し、出発!>



<鞍部より赤岳山頂への登り。みんなけっこうキツイかなぁ>



<中岳から赤岳へ。赤岳直下の岩稜帯を今度は登る>


でも・・・
登ってみると、意外と大変じゃなかった・・・
1時間はかからなかったなぁ〜。
まあ、山頂までのぼっちまえば小屋までは下るだけ、って頭があったからかもしれんが、意外にスイスイ登ってしまった。上部の岩稜帯も下ったときほど大変だとは思わなかった。
な〜んだ、こんなもんか・・・、もう終わりか・・・って感じ。



<赤岳山頂にもどってきた〜!>



<赤岳山頂から富士山が!下の山は茅ヶ岳かな・・・>


赤岳山頂でしばしくつろぐ、あとは20分下るだけだもんねぇ〜
時間もまだ15時過ぎだから、まあ心配するほどでもないし・・・
弟と弟の友人たちは頂上でTさんを探したが、いないみたいだ。
もう小屋にいるのかな・・・

さてそろそろ降りるか・・・



<赤岳山頂から天望荘に下る>



<赤岳山頂から天望荘への下りにて、手を振る我が弟。後ろは赤岳頂上小屋>



<赤岳山頂から天望荘へ。赤岳天望荘はもうすぐ!霧が出てきた>


降りだすと、霧が出てきた。
ああ、やっぱりあの中岳の鞍部で引き返して正解だった。
霧が出たら、登山が一気に難度を増す。
しかも日暮れが迫るとなると、危険きわまりない

ほどなく、赤岳天望荘に到着。
Tさんは談話室でくつろいでいた。
チェックインを済ませて、荷物を部屋に置いたら、さっそく酒盛りです。



<赤岳天望荘の談話室にて酒盛り。まだ16時すぎでっせ>


右から2番目の方が合流したTさんです。なんでも、大学時代にワンゲル(ワンダーフォーゲル部、ようは山岳部ね)にいた強者です。八ヶ岳は何度も登っているらしい。歳はぼくのひとつ上でした。
明るいうちからビールの飲むのはいいねぇ〜。ただジョッキ1杯800円だが…
ほとんどボッカ代(運び賃)だからねぇ、仕方がない…
350mlのビールとジュースは同じ値段、400円ですから…
ここでは、飲料は中身ではなく量で値段が決まる



<赤岳天望荘にて夕ご飯。夕方5時半頃、山小屋の夕飯ははやい>


夕ご飯はバイキング。
と山荘側は言っているが、実質的におかずの種類が限られるので、並んで全部のおかずを皿の上にのっける形に…。
バイキングじゃなくてセルフサービスっていうんじゃないかな、これ。
食堂は狭いので、食べ終わったらそそくさと部屋に戻ります(第2班、「6時から夕食組」がもうすでに並んでいる…)。



<赤岳天望荘の個室。一泊1万2000円也!!>


個室はご覧の通り。3名1室で、シングルベットと2段ベット。
これでお値段ひとり1万2000円也!!
山小屋で1万円越えはビックリしたが、1泊9000円のタコ部屋を覗いたら、この3000円の増額は価値があると思った。つうか、タコ部屋9000円も高すぎるな…。
風呂とか作っちゃったから、値段が高くなったのか…


そう、この山荘、稜線上にあるのに風呂がある!マジですか!!
でも入らなかったけどねぇ〜
だって200人から泊まっていて、湯船は小さいの1個。そこに入れ替わり立ち替わり薄汚れた登山者が入るんですよ!登山者の垢で出汁がとれまっせ。
そのだし汁につかるのは、ちょっとやだな。
どのみち明日には下山するので、麓の温泉に入ればいいし…


このあと、談話室でひとしきり盛り上がり、9時には就寝しました。


つづく
八ヶ岳山行2010<6>下山編
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20100930

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