ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

同志会例会_20110424

昨日、鉱物同志会の例会に行って来ました。


いつもは上智大学の教室を借りて行われるのですが、今回は地震の影響で教室を借りることができなかったらしく、急遽、西新宿の高層ビルの会議室に変更となりました。
西新宿はアラビア語塾をやめて以来、あまり行かなくなっていたので、久々に訪れたな、って感じ。
13時から例会は開催されるので、ちょっと早めに出て西新宿で昼食を摂りました。
どこで昼食を摂ろうか迷ったが、結局、アラビア語塾に通っていた頃によく行っていたKDDIビル裏のドトールにてミラノサンドを食べることにしました。
久しぶりだな…、ここのドトール
昼食を摂って、そそくさと会場を目指します。
早めに出たつもりだったんですが、会場到着は開会の20分前。もうすでにほぼ満席状態。
一番左の列の一番前が空いていたので、そこに陣取りました。


今回の例会は会計報告や役員承認や今期の行事予定を決めることと、講演会でした。
それと、今回の目玉!「新鉱物 千葉石 Chibaite」についての講演会があります。
ボクはこれを聴くのが今回の主目的です。
しかも発表者は、発見者(Nature投稿者)で現在、国立科学博物館の研究員である門馬さんです。
彼は、鉱物同志会に中学生の頃から所属されていて、いわば趣味をそのまま仕事にしてしまった方です。10年ほど前に鉱物同志会の会誌「水晶」においても「中学生カルテット」として登場しています。この中学生カルテットのうちのHくんとはボクは交流があり、Hくんづてに門馬さんの噂は聞いておりました。


例会が始まる頃、実はボクの隣の席が発表者である門馬さんの席であることが判明しました。
うわ〜、ラッキ〜!
これはいろいろ、聞いてみるしかないと思い、以前、千葉石産地で採集した千葉石と思われる標本を見ていただきました。
そしたら、ビンゴ〜!見事、「千葉石」!。
しかも透明部分が残っているので、石英に置換されていないオリジナルなものであることも判明!うっひょ〜!テンション上がります!!



<標本「千葉石」の全体写真>



<標本「千葉石」の拡大写真>


千葉石の写真と結晶構造(産総研HPより)
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110216/fig2.jpg
(↑産総研(以前門馬さんがいた研究機関のホームページより)
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110216/pr20110216.html


千葉石については以前、何度か書いています。
「千葉石」ついに新鉱物に登録!
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20110216
「千葉石」の続報
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20110217
ちょっと間が開いたが、千葉石ネタ
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20110311


例会は定刻よりやや遅れて始まり、「会計報告や役員承認や今期の行事予定」などの事務関係の報告が終わり、10分の休憩を挟んで、講演会がスタート。



<講演会の様子>


すでにだいたいのことは把握していましたが、新しい情報もあり有意義でした。
講演の内容は、千葉の不思議な結晶系の石英発見の経緯から、分析、同定にいたる流れ、見分け方、結晶構造のタイプ、どういった地質の場所で産生するのかなど、多岐にわたりました。
まあ、大まかなとこは以前のブログ(上のリンク)で書いていますので、そっちを参考にしてください。


今回の千葉石、つまり珪酸骨格(二酸化ケイ素)の結晶格子中に有機炭素が内包されるいわゆるメラノフロジャイト型の構造の鉱物は、結晶構造として3種類あります。
それぞれ、?型、?型、H型といわれています。


?型、?型、H型の図↓
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110216/fig1.png
(↑産総研(以前門馬さんがいた研究機関のホームページより)
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2011/pr20110216/pr20110216.html


?型はメラノフロジャイトと呼ばれ、すでに100年くらいまえに発見されており、珪酸骨格(二酸化ケイ素)の籠の大きさが一番小さく、この籠の中には炭素Cが1個のメタンCH4しかはいりません。
?型は、今回発見された「千葉石」で、この籠には炭素Cが1〜4まで、すなわちメタンCH4、エタンC2H6、プロパンC3H8、イソブタンC4H10(構造的には「CH3(CH3)CHCH3」になります)が入ることができます。
H型は、C7まで入ることができるようです。


講演後、活発な質疑応答がありました。みなさん熱心に質問されていました。
ぼくも2〜3質問しました。


そして最後に、聴衆の最大の関心事?かもしれない、まだ採れるのか、採ってもいいのか、という話題になりました。
それに対しては、残念ながら?産地保護の方向で千葉県が動いていること、地主にもその意向が伝わっていること、また露頭自体がかなり採掘されていて大きなモノは期待薄なことが告げられました。
ただ、門馬さんより、ここ以外にも日本のどこかに同じような産状の場所がきっとあるはずだから、是非新産地を探してみてください、とのアドバイスがありました。
まあ、日本がプレート境界面の付加体であり、近海で千葉石の構造とよく似たメタンハイドレードが見つかっていますから、どっかにきっとあるはずです。


講演が終了後、新入会員の紹介後、例会は閉会しました。
そして、隣の住友ビルに場所をかえ、堀会長の喜寿のお祝いの会が開催されました。



喜寿の会の風景>



<堀会長の挨拶>


鉱物同志会の堀会長は、鉱物学者でありながら標本商であるという一言で肩書きを紹介するのにはなかなかたいへんな経歴の方ですが、それより何よりも鉱物関係の書籍をたくさん出版され、鉱物を世に広めた功績は素晴らしいものです。
現在の鉱物界の重鎮といっていいかもしれません。


堀会長についてのwiki
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%80%E7%A7%80%E9%81%93


堀会長の著書のひとつ「楽しい鉱物図鑑」
http://www.amazon.co.jp/%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%84%E9%89%B1%E7%89%A9%E5%9B%B3%E9%91%91-%E5%A0%80-%E7%A7%80%E9%81%93/dp/4794204833


堀会長は、アマチュア鉱物採集家の裾野を広めるべく、25年ぐらいまえに鉱物同志会を立ち上げました。現在、会員は400名弱、おそらく日本最大のアマチュア鉱物団体です。
ぼくはこの鉱物同志会に94年頃に入会し、途中、幽霊会員だったり自然退会した期間がありましたが、現在に至っています。
ぼくが入会したことは堀会長は60歳を過ぎたぐらいでしたが、今年喜寿を迎えすっかり好好爺という感じになりました。時の経つのは早いものです…


<ググったら、10年前の堀会長の姿が出てきた↓>
http://www2.hamajima.co.jp/~tenjin/album/study/hori.htm


喜寿の会では、様々な人とお話ができてよかったです。特に同志会の幹部の皆様とはなかなか交流する機会がなかったので、この機会はとても有意義でした。また、以前ボクのブログでも引用したサイトの主「岩蔵てるてる」さんともお話しができ、マイミクとなりましたw。
ぼくもこれからはもっと積極的に鉱物と向き合っていきたいと思っているので、ちょうどいい機会でした。

岩蔵てるてるさんを紹介したときのブログ↓
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20110311


<岩蔵てるてるさんのサイト>
本館: http://teruteru.bakufu.org/
分館: http://iwatteru.blog47.fc2.com/
「特集! 新鉱物・千葉石について」
http://teruteru.bakufu.org/Chibaseki.html
1-1 千葉石の発見経緯
http://iwatteru.blog47.fc2.com/blog-entry-129.html
1-2 「千葉石」の読み方について…
http://iwatteru.blog47.fc2.com/blog-entry-130.html
2-1 千葉石と結晶構造
http://iwatteru.blog47.fc2.com/blog-entry-131.html
2-2 千葉石とシリカ鉱物
http://iwatteru.blog47.fc2.com/blog-entry-132.html
3-1 千葉石の産地と生成環境
http://iwatteru.blog47.fc2.com/blog-entry-133.html
3-2 千葉石の発見から今後の地球科学を考える
http://iwatteru.blog47.fc2.com/blog-entry-134.html

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喜寿の会の後、mixiの石友さん達&門馬さん&岩蔵てるてるさんの総勢9名で2次会に行きました。鉱物同志会の平均年齢はおそらく60歳以上ですが、この2次会のメンツの平均年齢はおそらく30代前半、まさに同志会青年団つうとこでしょうか…www。
結局、10時半ぐらいまでしことま盛り上がり、お開きとなりました…


いや〜、楽しい一日だったわい

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ロバのティールーム
http://www.k5.dion.ne.jp/~himar/