ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

北アルプス燕岳山行<その5> 燕山荘→大天井岳(方面)

前回のつづきです。

前回の日記
北アルプス燕岳山行<その4> 合戦小屋→燕山荘→縦走路」
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20110801


燕山荘を出発したオイラ達は一路南下、大天井岳方面(いわゆる表銀座コースね)を目指します。
時刻は午前11時20分、ちょっとゆっくりし過ぎたか…



<燕山荘前より燕岳を望む>


燕山荘前からは燕岳がよく見えます。
燕岳は燕山荘の北側に位置しています。
大天井岳は南、燕岳を背にして、槍に向かって歩き出します。



<燕山荘前より槍ヶ岳方面>


写真のように、ホント、ちょうど槍に向かって突き進む感じです。



表銀座コースの縦走路>



<燕山荘周辺で散策する仲間たち、座っているのはY田くん>


ちょっと歩いたあたりで、すでにみんなはゆったりモード。
T田くんは蝶マニアなので、蝶の写真撮影にのめり込みます(写真中、一眼レフを持つ帽子の男)。
山初心者のY田くんはすでに道ばたに座り込んで、風景を眺めています。
なんか、すでにまったりモードで、遠くまで行く気がなさそうです。

遠くに行く気満々のオイラは彼らを置いて、さっさと歩くことにしました。
しばらく歩いて振り返っても、彼らはほとんど進んでいない様子。
それではオイラだけでも行けるとこまで行こう、と単独行に切り替えました。
ケイタイの電波も通じるので、位置情報だけ弟にメールすればいいしなぁ・・・(実際、定期的に位置情報のメールを送りました。)
(後で聞いたら、弟はオイラがサッサと行くのを見て、ありゃ一人で行けるとこまで行くんだな、とすぐに思ったそうな。さすが我が弟、よく兄貴の性格を理解してるねぇ〜。山歩きはそれなりに慣れているので、特に単独行でも心配はないし・・・)



<燕山荘→大天井岳のコース全体図>


燕山荘から大天井岳までのコース図は上記の通り、
大天井岳の山頂まではだいたい片道2時間半〜3時間くらいはかかるらしい(往路復路ほぼ同じ)。
往復すると、5時間から6時間…
現時点で11時半なので、山頂まで行き燕山荘に帰ってくるのは16時半〜17時半ぐらいになる計算。
やはり山頂まではつらいわなぁ…
まあ、いけるとこまで行こうってことで、
燕山荘には少なくとも15時か16時には帰るとして、
逆算すると、13時か13時半までに引き返せばいいかな…。
喜作レリーフ切通岩)、いや大天荘(大天井岳の肩)まで行けるかな?ううむ…
とにかくひたすら歩きます…



<地図:燕山荘→蛙岩まで>


燕山荘を出発して、最初のランドマークは蛙岩(げえろいわ)
まずは蛙岩を目指す。



<仲間たちを置いて縦走路を南下、来た道を振り返る>


振り返ると、もう仲間たちは小さくなっていました。
というか、どの集団が仲間たちなのかもすでに見分けがつかないとこまで来てしまった。
とにかく休まずズンズン来てしまったので、当たり前ですが…



表銀座コースをゆく、槍ヶ岳へと通ずる道>


縦走路から西側の山のパノラマ写真を撮ってみました。



<縦走路からのパノラマ(南〜西〜北)>


ちいさくて分かりにくいので、結合前の写真に注釈を入れてみました。
上から、左側・真ん中・右側の写真です。↓



<パノラマ写真を解説、パノラマの左端(南〜西)>


パノラマの一番左、方角で言うと南西側には槍を中心とする槍・穂高連峰が見えます。
中岳・大喰岳のさらに南には大キレットを経て、穂高連峰に通じています。


そういや行きがけの美ヶ原からもこの槍から穂高への山並みが見えていたよなぁ…

北アルプス燕岳山行<その1>」
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20110721


槍ヶ岳の右手には北鎌尾根、その奧には西鎌尾根が見えます。西鎌尾根の奧には遠く笠ヶ岳も見えます。
西鎌尾根をずっと左手方面にたどっていくと、いわゆる裏銀座コースの山々が連なります。
樅沢・双六・丸山・三俣蓮華の山々は全て裏銀座コース上の山々です。



<パノラマ写真を解説、パノラマの真ん中(西〜北)>


さらに裏銀座コースは続き、鷲羽・ワリモ・真砂・野口五郎までは裏銀座の山々、その右奧に雲に隠れていますが烏帽子岳があるはずです。
この烏帽子岳から槍ヶ岳までの稜線が槍ヶ岳登山の裏銀座コースの全貌です。
ちなみに、真砂岳とワリモ岳の間にある水晶岳は、裏銀座の稜線のさらに奧の山です。水晶岳はあの辺りでは最高峰になります。ちなみに頂上付近には水晶がザクザクあるようですが、もちろん国立公園内ですので「採集禁止」です!
といっても、行くのに2日以上かかるので採集に行く人なんぞいないとは思いますが…



<パノラマ写真を解説、パノラマの右端(北方面)>


一番右端の写真は、燕山荘から歩いてきた稜線です。
この稜線と裏銀座の稜線との間に高瀬川の谷があります。
まあ、高瀬川はこの谷を北上したあと、大町付近で東へ進路を変え、そのあとさらに安曇野を南下するので、
いまぼくのいる稜線の東側の安曇野高瀬川の谷だといえるわけです。
つまり、この燕岳から大天井への稜線は高瀬川に三方に囲まれているともいえるわけです。


さらに縦走路を進みます。



<縦走路>


やがて第一のチェックポイント、「蛙岩」に到着です。
なんで「蛙岩(げいろいわ)」というのか、由来は知らんです。
ググっても特に出てこないので、たぶん蛙に姿が似ているのでしょう…



<蛙岩(げえろいわ)が見えてきた>



<蛙岩(げえろいわ)の道標>


蛙岩を通過し、とにかくドンドン突き進みます。
時間が限られていると、自然と足並みも早足になります。



<蛙岩付近より槍ヶ岳を望む>



<蛙岩(げえろいわ)通過後、来た道を振り返る>


蛙岩を通過すると、次のランドマークは「大下り」。
縦走路はここで一気に200mくらい下ります。



<地図:蛙岩→大下りの先まで>



<大下りの手前より南方面を望む>


大下り付近から大天井岳の尾根越しに槍ヶ岳〜奧穂高岳まで3000mの稜線がしっかりと見えていました。

大下りの手前には、「大下りの頭」というちょっとしてピークがあります。
大下りの頭で立ったまま一息つきました。



<大下りの頭>



<大下りの頭の道標(ちょうど燕岳と大天井岳の中間点らしい…)>



<「大下り」を下る>


大下りを下っていると、石英を目にしました。むむッ…
ペグマタイトか???
ペグマタイトってのは巨晶花崗岩のことで、花崗岩のなかでも結晶が大きく発達してる部分を指します。
中房温泉から燕山荘、さらにここ大下りまでずっと花崗岩地帯でしたので、どっかにペグマタイトがあるんじゃないかと注意して歩いていましたが、ここにきてようやく出会えました。


※ペグマタイト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%B0%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88


ここのは特に花崗岩からなるペグマタイトですので(花崗岩の他にも閃緑岩とかの他の深成岩でもペグマタイト化するので…)、主も石英や長石、黒雲母の巨晶が見られました。長石と黒雲母については結晶も確認しました。ただ石英については結晶(つまり水晶)は見いだせませんでした。


石英 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E8%8B%B1
※長石 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E7%9F%B3
※黒雲母 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BB%92%E9%9B%B2%E6%AF%8D



<縦走路でペグマタイト(巨晶花崗岩)を発見、写真は石英脈と黒雲母>



<ペグマタイトの石英脈>


じっくり観察したかったのですが、時間がないので先を急ぎました。
まあ、帰りにじっくり見ればいいからねぇ…



<大下りを通過したところから見た槍ヶ岳



<「大下り」を振り返って見る>


大下りを過ぎると、縦走路はしばらく松本盆地側へうつります。
松本盆地側の道は樹林帯であまりいい景色は望めません。
しばらく歩くと、道は再び稜線に戻りました。
為右衛門吊岩はこのあたりのはずですが、道が松本盆地側に付いていたため、気がつかずに通過したようです。



<地図:為右衛門吊岩付近から大天井岳まで>


稜線上に戻ると、そこはコマクサ地帯です。
コマクサがたくさん咲いていますが、たぶん人工的に増やしたのでしょう。
まあ、つまりは「コマクサ畑」ですww
コマクサ畑の真ん中のひもで挟まれた道を南へ急ぎます。
でも時間はすでに12時半も過ぎ、そろそろタイムリミット間近です。



<だいぶガスってきた>



大天井岳が見えてきた>


大天井岳は目の前なんだけどなぁ…
やっぱりあそこまで行くのは無理だよなぁ…
暑くてバテてきたし、やっぱりこの辺が限界だろうか…



<為右衛門吊岩の先の2699mピークが見えてきた>



<2699mピークを通過、大天井山頂はガスの中へ>


そう思いつつも足を先に進め、2699mピークを通過。
切通岩までいけないかな…
いろいろ考えながら歩いていたが、だんだんガスが出てきていることに気がつく。
これは、あまり遅くまで行動できないな。


時刻はもうすぐ13時、もう少しがんばれば切通岩の喜作レリーフまではいけるかもしれない。
しかし、地図を見ると、くさり場があるらしい…
う〜んどうしよう…。少し疲れてもきたしなぁ、力もでなくなってきた
(後で考えたら、このときは疲れとバテもあったのかもしれないが、スタミナ切れだった可能性が高いです。だって、昼飯に食べたのは中華三昧だけだもんねぇ…)
結局、13時ちょうどで行動を終了することにしました。


最終到達点はここ(パノラマ写真です)↓



<最終到達点。大天井はすっかり雲の中…>


最終到達点では、槍の穂先が大天井岳の尾根に隠れる程度の場所まできてました。



<最終到達点。大天井岳の肩に槍の穂先がかろうじて見える地点。>


地図に落とし込むとこんな感じ↓

<地図:為右衛門吊岩付近から大天井岳まで>


燕山荘から大天井岳までの地図上に落とし込むとこんな感じ↓

<燕山荘から大天井岳までのコース全体図>


こうやってみると、結構惜しいとこまで来てるんだよねぇ…
とはいえ、この最終到達点から山頂までは1時間ぐらいかかるんだよねぇ…
登山道がいったん北側の肩まで巻いて、そこから頂上に上がるんで、結構かかるんです。


とはいえ、燕山荘から1時間半でここまで歩けたんだから、まあたいしたもんです(あはは、自画自賛か…)。その前に合戦尾根も登っているんだからねぇ〜
ちょっと歩き過ぎかもしれません。
しかし、まだここから燕山荘にもどらにゃいけません。


ちなみに最終到達点からのパノラマ写真はこんな感じ↓



<最終到達点にて、西の山々のパノラマ>



<パノラマの左端(南から西)>



<パノラマの真ん中(西)>



<パノラマの右端(北側)>


ちょうど13時を過ぎたところで、最終到達点の道端で紅茶を沸かして一休み。
それにしてもよく歩いた…
さ〜て、燕山荘まで引き返すのが大変だ…


つづく