ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

東京ミネラルショー2011<2>

前回のつづきです。

東京ミネラルショー2011<1>
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20120125


前回は、12月10日(土)に3歳の娘を連れて下見に行った話でした。
今回は翌11日(日)の話です。


この日は午後から同じ会場(池袋サンシャイン)で行われる鉱物鑑定士補8級の講習&試験があるため、すこし早めに家を出ました。
講習&試験は13時半〜16時半とほぼ午後まるまるつぶれてしまうので、その前にミネラルショー(略して「ミネショ」と呼んでますw)で石を見て買う物は買ってしまおうという意図からです。
前日の下見は、娘に買ってあげるもののことばかり考えて会場内を回っていたので、ゆっくり見れませんでしたから・・・


10時半には会場に入りました。まだ午前中なので、場内の人は前日ほどではない。
ざっと一周してみて、う〜ん、あんまり欲しいものもないかなぁ、と思いつつも・・・
結局何個か買ってしまうんだよねぇ〜。買ったものは日記の後半で紹介します。


12時ちょっと過ぎに会場を抜けて、昼食を摂った後、
試験会場であるサンシャインシティ文化会館8階の会議室へ。



<鉱物鑑定士補8級の講習&試験の会場>


入口で受付をしていた同志会幹部のY田さんにバッタリ!
「え?受けるの?ここから(この級から)?」ってビックリした顔をしたんで、
「ええ、8級から飛び級なしで受けなきゃいけないみたいです」と答えました。
まあ、ボクの鉱物知識もかなり偏りがあるので(詳しいとこは詳しいが、知らんとこはホントに知らん)、知識の偏りを矯正するにはこういう試験がもってこいかもしれません。
(※後でわかったのですが、Y田さんは鉱物鑑定士1級の持ち主でしたw)


13時半になり、まずは講習会が2時間です。
8級は鉱物初心者向けですので、「鉱物とは何か?」から始まります。
岡山県万成(まんなり)産の花崗岩が配られ、その花崗岩の構成鉱物から説明。


岡山県万成産の花崗岩
http://www.hirahaku.jp/web_yomimono/geomado/sekiz03.html
http://geohiruzen.co.jp/?p=596


桃色の長石、黒色の黒雲母、無色透明の石英などの岩石を構成する鉱物がはっきりわかる花崗岩なので、こういった鉱物が集まって岩石ができるのよ〜、的な説明にはピッタリの石です。
その後は8級の基準鉱物についてひとつひとつ実物の標本を見ながら、説明していきました。


8級の基準鉱物は以下の通り


元素鉱物 : 自然金、石墨、自然硫黄
硫化鉱物 : 閃亜鉛鉱、黄銅鉱、方鉛鉱、辰砂、黄鉄鉱
酸化鉱物 : 磁鉄鉱石英、オパル
ハロゲン鉱物 : 蛍石
炭酸塩鉱物 : 方解石、藍銅鉱、孔雀石
硫酸塩鉱物 : 石膏
珪酸塩鉱物 : カンラン石※、ザクロ石※、トパズ、輝石※、角閃石※、雲母※、長石※


23種、というか珪酸塩の※印はグループなので(輝石グループとか、角閃石グループとか)、
17種+6グループというべきでしょうか?


グループという意味は、
たとえば「輝石」なら「輝石」という名前の鉱物があるわけではなく、
普通輝石、灰鉄輝石、頑火輝石、透輝石、ひすい輝石…などなど
様々な輝石という名前が付く「輝石グループ」の総称という意味です。
輝石グループには輝石グループ独特の基本的な結晶構造があって、その基本骨格に様々な原子が置き換わることで、このようなバリエーションが生まれます。


輝石
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BC%9D%E7%9F%B3
http://www.museum.tokushima-ec.ed.jp/bb/chigaku/minerals/11.html


各級の基準鉱物は以下のリンクに詳しく載ってます。
6級ぐらいから急に難しくなりますねぇ・・・。


基準鉱物一覧表
http://www.masutomi.or.jp/kantei-shi/minerallist.pdf


こうして2時間の講習が終わり、10分ほどの休憩の後、試験となりました。
試験問題は知っている人にはすごく簡単なもの(逆に知らない人は全く答えられない感じ)
「早い人は10分で終わります」との前説明の通り、ボクも5分ほどで終了(見直し時間も含め)。


後日、結果が届きました。
結果は「合格」でしたぁ。


<合格証と答案>


よかったわい。
これで落ちたら、明日からどんな顔して生きていけば・・・www
途中、ブランク期間もあるが、一応小学生の時から鉱物趣味やってるからねぇ・・・


鉱物鑑定士について
http://www.masutomi.or.jp/kanteisi.info.html
http://www.nagoyamineral.com/masutomi.htm


試験終了後、17時半にミネショの入口前でmixi鉱物仲間と待ち合わせし、毎年恒例の飲み会(忘年会)を行いました。
鉱物鑑定士の講習&試験で隣に座っていたOさんという女性にも声をかけましたら、飲み会に参加するとのことで、彼女も飛び入り参加となりました。
総勢10名(ぐらいだったかな?)で池袋の飲み屋飲み会となり、ミネショで買った標本を披露しあいました。
ミネショの後の飲み会(忘年会)は、ここ数年の年中行事と化してますな・・・www



さて、今回のミネショでの購入品は以下の通り・・・

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<緑簾石(スペイン産)>


<緑簾石(拡大)>

緑簾石 epidote Ca2(Fe,Al)3(Si2O7)(SiO4)O(OH)
産地: Escales reservoir, Ribagorça (Ribagorza), Huesca, Aragón, Spain


スペイン産の緑簾石です。
緑簾石はわりと普通に見られる鉱物ですが(秩父鉱山にもあります)、大きな結晶はめずらしいです。以前から大きいものを一つ欲しいと思っていたので、購入。


緑簾石
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%91%E7%B0%BE%E7%9F%B3
http://www.weblio.jp/content/%E7%B7%91%E7%B0%BE%E7%9F%B3

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<オハエラ鉱山の異極鉱>


<異極鉱(拡大)>


異極鉱 hemimorphite Zn4Si2O7(OH)2・H2O
メキシコ・オハエラ鉱山産


オイラの大好物の亜鉛(Zn)の鉱物です。
そしてこの異極鉱も大好き!。亜鉛の金属とも非金属ともつかない感じがイイ!!
珪酸塩鉱物なんだけど、珪素感たっぷりなガラス光沢ではなく、かといってベタ〜とした樹脂光沢でもない独特のテリが好きなんだよねぇ。
それとこの結晶構造!この剣が蛇腹にならんでいるような感じも好きなんだよねぇ・・・


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%B0%E6%A5%B5%E9%89%B1
http://www.weblio.jp/content/%E7%95%B0%E6%A5%B5%E9%89%B1


同じ亜鉛仲間のアダム鉱 adamite Zn2(AsO4)(OH) (こちらは砒酸塩鉱物、これもオハエラ鉱山産だった) が同じブースで売っていたが、ちょっと値段のわりに結晶サイズが小さかったので買わなかった。
でももう絶産だというので(90年代後半にドバッと市場に出て、その後へ減る一方だそうな)、買っときゃよかったな、とちょっと後悔している。


アダム鉱
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%88
http://www.weblio.jp/content/%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%A0%E9%89%B1
http://toolate.s7.coreserver.jp/stone/adamite/index.htm

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ここまでは外国産の話。
この下からは国内産鉱物。いずれも同志会のHさんがお店番をしていたノンプロショップのブースで購入。



<土呂久のダンブリ石>


ダンブリ石 Danburite Ca(B2Si2O8)
宮崎県土呂久鉱山産


ホウ素(B)(※ホウ酸玉のホウ素ですww)を含む鉱物で、国内でダンブリ石といえば土呂久産というぐらいベタな標本です。ダンブリ石は外国産しか持っていなかったんで、購入。
ちなみに土呂久鉱山とは日本の公害事件として有名な土呂久砒素中毒事件の土呂久です。


http://www.weblio.jp/content/%E3%83%80%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AA%E7%9F%B3
http://413828.web.fc2.com/1-Danburite.html


※土呂久砒素中毒事件
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E5%91%82%E4%B9%85%E7%A0%92%E7%B4%A0%E5%85%AC%E5%AE%B3

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<文挟クレーの燐灰石>


燐灰石 apatite Ca5(Cl,F)(PO4)3
栃木県文挟クレー鉱山産


燐灰石自体は歯の成分と同じなのでどこにでもある石ですが、大きな結晶となるとやはりめずらしいです。
この文挟クレー鉱山の燐灰石はやっぱりちょ〜有名なもので、一つは持っておきたいもの・・・。数年前、今回購入品より大きいものがずっと安く売っていたが、そのとき買うのを迷って、結局やめてしまい後で後悔しました。
で、今回は購入しました。1つは持っておきたいからねぇ。


燐灰石には、

 ・フッ素原子(F)が付いたフッ素燐灰石 Ca5(PO4)3F
 ・塩素原子(Cl)がついた塩素燐灰石 Ca5(PO4)3Cl
 ・水酸基((OH)がついた水酸燐灰石 Ca5(PO4)3(OH)

などがあるが、文挟はフッ素燐灰石です。六角板状の綺麗な鉱物です。


塩素燐灰石の代表的な産地は秩父鉱山の渦ノ沢という産地があります。
渦ノ沢には行ってみたいのですが、「とある事情」で行っていません
(※※「とある事情」は日記の一番最後に書きます。こわがりな人は読まない方がいいですw)


燐灰石
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%87%90%E7%81%B0%E7%9F%B3
http://www.weblio.jp/content/%E7%87%90%E7%81%B0%E7%9F%B3


フッ素燐灰石
http://www.weblio.jp/content/%E5%BC%97%E7%B4%A0%E7%87%90%E7%81%B0%E7%9F%B3
塩素燐灰石
http://www.weblio.jp/content/%E5%A1%A9%E7%B4%A0%E7%87%90%E7%81%B0%E7%9F%B3
水酸燐灰石
http://www.weblio.jp/content/%E6%B0%B4%E9%85%B8%E7%87%90%E7%81%B0%E7%9F%B3


文挟の燐灰石
http://blogs.yahoo.co.jp/tgcberyl/41085825.html

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大岡村の普通輝石>


普通輝石 augite  (Ca,Mg,Fe)2Si2O6
長野県更級郡大岡村(現長野市)樋ノ口沢産


いわゆる造岩鉱物の一種で、その辺に転がっている石(火成岩、変成岩)に普通に入っている鉱物ですが、大きいモノはやはりめずらしいんです。
造岩鉱物って意外と持ってないんだよなぁ。金属鉱物はいっぱいあるんだが・・・。ありきたりすぎて集めないのかな・・・。ということで、初心にかえって購入。


普通輝石
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%AE%E9%80%9A%E8%BC%9D%E7%9F%B3
http://www.weblio.jp/content/%E6%99%AE%E9%80%9A%E8%BC%9D%E7%9F%B3


造岩鉱物
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A0%E5%B2%A9%E9%89%B1%E7%89%A9


ググったら面白い資料が引っかかったんで、リンク張っておきます。

「マグマからの主要造岩鉱物の晶出順序」 (早稲田のサイトみたい)
http://www.uchida.env.waseda.ac.jp/microscope/microscope2.pdf


ということで、ミネラルショー2011はこれにて、完。



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<<心臓の弱い人は読まないで・・・>>

※※渦の沢に登れない「とある事情」
1996年4月29日に渦の沢の燐灰石を採集するために、渦の沢を単身で登っていたところ、腐乱死体を発見してしまいました。もちろん警察に届けて(中津川の駐在所)、調書を取られ、遺体収容まで警察に付き合いました。午前中(たぶん10時頃)に発見して、遺体収容が終わったのは午後5時過ぎ、結局一日つぶれてしまいました。それ以来、トラウマでこの沢には入っていません。ちなみに仏さんは身元不明者のまま火葬されたそうです。遺体は一冬越しちゃったみたいで、顔が焦げ茶色に変色していました。