六助春の輝安鉱祭り その2
前回の続きです
六助春の輝安鉱祭り その1
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20120509
貯鉱場から下り、軍曹とふじねこさんの待つ貯鉱場北側の沢へ戻ります。
北側の沢では成果あったかな?ここのズリもゴッソリ流れちゃってるからねぇ・・・
ここでは以前、方鉛鉱の塊を一個採っただけだわい
時間もないので、奥へ急ぎます。
まず貯鉱場北側の沢を越えて・・・
これが結構な侵食で、危険なんだよなぁ
河床の真ん中に倒木もあるし、沢自体の斜度もけっこうあるし
だんだん危険になってきます、ここも・・・
沢を越えた軍曹が斜面をガッツリ登っていきます。この軍曹、女子だけどバイタリティはなかなかなもんです。いつも「鉱物採集をやってると女子力が下がる」とボヤいていますが・・・
さて、ここからどうするか・・・
時間的には2時近く、結構いい時間なんだよなぁ
バスタム・ポイントやブーランジェ・ポイントに行っている時間はなさそうだ・・
このあたりに輝安鉱の貯鉱場があったという噂はあるのだが、それも未だ特定していない・・・
ホントにあったらしいけど、あの侵食度合いだとすでに下に落っこちてしまっている可能性が高い。
現にくだんのてるてる氏はもっと下流で例の輝安鉱をゲットしているし・・・
結局、バスタム・ポイントやブーランジェ・ポイントはあきらめ、輝安鉱を探しながら、旧坑巡りをすることにしました。旧坑に入るためにせっかく長靴を履いてきたのだから・・・
大佐を案内すればGPSログも採れるし・・・
ただ同行者のみなさんはロクな収穫物を得ていないようで、案内人のオイラとしては申し訳ないっす。バスタム・ポイントやブーランジェ・ポイントに行けば、確実にモノが採れるんだが、下でだいぶ時間食っちゃって(丁寧にズリ・露頭ごとに止まって採集活動しちゃったから)、そこまで行ってたら日が暮れちゃいます。
沢を登り、旧坑を目指します。
この辺りはずっとズリがあるのですが、不毛のズリです。
どうも出てくるのが鉄ばっかりだったみたいで、あっても褐鉄鉱ばっかりのイメージです。
一応、石を探りながら登っては行きますが、ホントたいしたものがないです。
途中から支沢を詰めていくと、旧坑と鉱山施設が見えてきます。
鉱山施設に到着。
この辺はニッチツさんの地図に載っていない場所なので、たぶんニッチツさんが秩父鉱山を買う昭和18年より前の施設ですな。
もう何度か訪れている場所だが・・・
<坑口を発見したときのブログ>
六助探索20091107 六助どんだけ〜 その2
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20091117
この施設跡から山腹に道がついていて、下流側にも上流側にも坑口があります。
とりあえず下流側の坑口にごあいさつ
<下流側の坑口>
坑口さん、こんにちは!
ちょっと入らせてもらいますよ
ヘルメットの上からヘッドランプをして、中に入ってみました。
今日はこの坑口に入るためにわざわざ長靴履いてきたんですから・・・
長靴の丈は膝下ぐらいまで・・・
しかし、入って10mも進まんうちに、長靴の丈に達してしまいました。
こりゃ駄目だ・・・
諦めて退散です。
1つめの坑口は駄目だったけど、もうひとつあるじゃないか・・・
ということで、しばらく山腹道を歩いて、上流側の坑口へ
こんにちは、入らせてもらいますよ・・・
あぎゃ・・・
こちらはさっきの坑道よりももっと水が溜まってる・・・
5mも進まんうちに長靴丈深度まで到達・・・
さっさと、退散・・・
やはり坑内採集は無理か・・・
大佐がさっさと探索に行ってしまったので、大佐を追いかけます。
まあこのあたりはほぼ把握していて地図も作ってしまってるので、どの辺を歩いているかは見当がつきますが・・・
軍曹とふじねこさんは下の方でズリを漁っているようです。
ほどなく大佐に追いつきました。
鉱山施設跡から続く古い中腹の鉱山道をトレースしてきたみたい・・・
すでに鉱山集落跡の手前まで来ていました。
日が陰ってきたんで、そろそろ下山しようということになり、軍曹とふじねこさんがいる下のズリに向かって斜面を下り出すと・・・
なんか平場がある。
結構広いので、建物でも建っていたような雰囲気・・・
平場をさぐっていくと
石垣で囲まれた窪地が・・・
なんだろねぇ、これ。
とにかく、六助沢最奥部にはこんな感じの人が暮らした臭いがプンプンするのです。
まあ江戸中期ぐらいから六助沢鉱山はあるので、当たり前といっちゃ当たり前なんだが・・・
六助は登るたびに何か見つける。奥が深いのう。
さて、下で同行者が待っているから、下りようかのう
下にいた仲間たちと合流し、しばし休憩。
日も傾きかけている、もう3時半過ぎてんだねぇ
ズリにいたふたりに成果を聞くと、全然の様子。やっぱり不毛のズリか
あんまり成果がなくてごめんねぇ・・・
ホントはバスタムとブーランジェポイントまで行く予定だったんだけど、おっつかなかった・・・
輝安鉱のポイントもわからんまま
「お土産ななくてごめん」「いいですよ〜、探索なんてそんなもんですし・・・」
なんてやりとりをして、さあ下りましょうか、とザックをかついで歩き出したとき、
足下にあやしい青灰色の石があるのに気が付いた
何の気なしに掘り起こしてみると・・・
あ!!!
き、輝安鉱じゃん!
探し求めていた輝安鉱がこんなところに、しかもかなりデカイ・・・
掘り起こすと、長径40cmぐらい、重さは10キロぐらいあるかな
割ってみると、全部輝安鉱でできているみたい
<<<<アンチモンの神が降りてきたぁ〜〜〜!!!!>>>>
<<<<ああ、神よ!我を見捨てていなかったか!!!!>>>>
<<<<アンチモン・ラーよ!!>>>>
※注 輝安鉱の化学式は、Sb2S3 要するに硫化アンチモンってことです。
諦めモードの一行が一転、
<<<輝安鉱祭り>>>
となりました!!
とりあえず細かく割って、みんなにもお裾分け
ガシガシ割っていったんだが、「ちょっと待てよ」という話になった。
割らないでこのまま持って行った方がいいんでないか、と
この塊がどのくらいの価値があるのかわからんが、ひょっとすると大きいままの方がいいのではないかという話になりました。博物館で飾ってもらえるかもしれんし・・・
でも結晶自体がでかいわけじゃないんだけどねぇ
まあ、いいや、後で割る割らないは別にして、
とりあえずみんなに行き渡ったんで、3分の1ほど割ったところで、割るのを止めて塊自体を担いで下ろすことしました。
輝安鉱はモース硬度が2しかないので、鉛筆の芯より柔らかい。
気をつけて梱包しなきゃいかんわけだが、こんなもん採れることは想定していないので、ズタ袋を2つ使って何とか梱包。
天候急変対策の防寒具、軽量ダウンジャケットを持ってきていたんで、これがクッション代わりになりました。
しかも、偶然にも2泊3日の山行に耐えられるほどのザックで来ていたので、十分収納することができました。
で、ここから1時間以上かけて山道を下り、なんとか家まで運ぶことができました。
お陰で体の節々が痛くなった・・・
昔はテントが入った20キロの重さのザックを担いで3泊4日の北アルプス山行をやっても平気だったんだが、落ちぶれたもんです・・・。
で、そのように苦労して持ち帰った輝安鉱はこちら・・・
まず小分けしたものはこんな感じ↓
(※下の写真の点線のひとマスは0.5cm、実線ひとマスは1cmです。)
そして、大きな塊はこんな感じ↓
家で体重計に載せたら、7キロもあったよ〜!
こうして、とりあえず六助名物の輝安鉱はゲットしたわけで(以前もゲットはしていたが、スケールが全然違う)、六助での新たなステージに到達したわけです。
さて、この石から、アンチモンの二次鉱物、方安鉱とバレンチン石を探すという次のミッションがあるわけで・・・。
それ以外にも安四面銅鉱とかもあるかもね〜、なんていうミッションも・・・
<オマケ>
鉱山道を下山していると、行きには見かけなかった石が道上にゴロリ。オイラ達が上に行っている間に落石が起きたんだねぇ。こわ!!
行きに見かけたカモシカ。俺たちも見つけて、様子をうかがいながら、逃げては立ち止まり、逃げては立ち止まり、して、姿を消しました。
< 六助春の輝安鉱祭り 完 >