ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

甲武信鉱山採集行 その2

前回の続きです。


甲武信鉱山採集行 その1
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20111102


貯鉱場を後にした一行はクルマに乗り、スーパーで明日の食料を購入した後、宿(湯沼鉱泉)に戻りました。宿ではオイラたちの他に団体宿泊客(15名ほど)がいました。
この団体さんは、鉱物マニアの間では有名なサイトを運営していらっしゃる某ミ○○○ハンターさんの採集会ご一行様でした。
実は宿の予約の際に他に団体客がいる情報は入手していて、人数から推測するに某ミ○○○ハンターさんの採集会だろうとは想像しておりました。


何らかの交流が発生するかな、とも思っていたのですが、
部屋が離れていたのと、あちらはあちらで内輪で盛り上がっていたので、まったく交流はなかったですなぁ。どうも宴会場のような広い部屋で、宴会しながらオークション的なことをやっていたみたいですな。そのうち彼のホームページにアップされることでしょう…。


と言っているそばから某ミ○○○ハンターさんのホームページに掲載されていた…


某ミ○○○ハンターさんのホームページ
http://www002.upp.so-net.ne.jp/mineralhunters/mineral.html
http://mineralhunters.web.fc2.com/saisyukai2011_10.html

下のURLのページに大佐と軍曹、若社長の後ろ姿が写っておりますwww
つうか「勝手に撮るなよ〜!」… って言うほどでもないがwww



まあどうでもいいと言えばどうでもいいですが…



さてウチらはウチらで囲炉裏がある部屋(というか宿の居間かな?)で、夕食となりました。
ビールを1本あけて、こちらもこちらでちょっとした宴会…、かなwww
ここのご飯はボリューム満点っていう噂は聞いていましたが、噂に違わずスゴイ量!
豚すき鍋に天麩羅やら刺身やらその他もろもろ、しかも近くで採れた松茸を使った松茸ご飯とまあ、すごいもんですわい。しかも割と美味しい!
これで一泊6500円は安い!


夕食後、温泉(鉱泉なので沸かしているのかな?)に行ったんだが、こちらはこちらでかなりワイルドです!www
日本の旅館にいるとは思えないお風呂、とでも言っておきましょうか…www


お風呂の後、仲間でテレビを付けて部屋でまったりだべりながら、また持参した標本を眺めながら、川上村の夜は更けていきました。
そして10時には消灯・・・。


翌朝、7時前には起床、一応7時から朝ご飯ってことになっていたんだねぇ…
朝ご飯も夕ご飯と同様、ボリューム満点、山に登るので食っておかんとねぇ



<湯沼鉱泉にて朝ご飯>


朝ご飯後、宿に併設されている「水晶洞」の探検です。
水晶洞はこの湯沼鉱泉の社長が作ったテーマパーク?かな、というか、なんと説明したらいいだろうか…。
湯沼鉱泉自体が採石場の跡地にあるのだが、ここの社長はこの採石場の坑道などを使って鉱物の博物館をつくったんです。それが水晶洞。
水晶洞には、鉱脈をそのまま保存したものや、この付近で採れる鉱物などが展示されているのだそうな。


宿から散策路をつたって、水晶洞の入口に向かいます。



<湯沼鉱泉、水晶洞入口>


水晶洞の入口はまさに坑口そのものです。
入ってしばらくは坑道のような道が続き、ぱっと広いところにでると、そこには鉱物標本がところ狭しと、そして雑然と並んでおります。もう少し展示を考えた方がいいのでは?と思う部分もありますが、圧倒的な物量です。



<水晶洞の中>


↑上の写真のような部屋がいくつもあり、その間を坑道がつないでいます。
そして所々に鉱脈がそのまま残されていて、中でも緑水晶(たぶん緑簾石か灰鉄輝石がインクルージョンした水晶)の脈がすばらしい。その脈にはハート型の双晶も含まれています。


なんやかんやでこの水晶洞と、その外の採石場跡、散策道を歩いて、宿に戻ると1時間ほど経っていました。



<湯沼鉱泉にて、川上犬と戯れる>


湯沼鉱泉の宿に戻ると、すでに9時。
身支度を調え、今日は甲武信鉱山のいわゆる登山コースに出発です。
前日の貯鉱場同様、林道のドンづまりまで車を走らせ、そこに駐車しました。
山登りスタイルでいざ出発です。


甲武信鉱山は山の中腹に広域に鉱床があって、そこに多数の坑口が点在しています。稼働中は(昭和20年代まで)そこから沢沿いの貯鉱場まで空中索道(いわゆるケーブルね)で鉱石を運んでいたようです。今日目指すところは山の中腹の鉱床です。


鉱床への道のりは、林道を登っていき、途中から山へ入っていきます。



<登山コースの入口>


林道をしばらく歩くと、看板が見えてきました。
看板には入山の際には湯沼鉱泉に連絡するようにとの文字が・・・


さっそく斜面に取り付きたいところだが、ここでハプニングが・・・
若社長が先ほどの水晶洞からの散策道で足をくじいた模様、取り付き口まではなんとか着いてきたが、さすがにこの斜面はキツいとの申し出が・・・



<くじいた足を気にする若社長>


結局、若社長を残し、大佐、軍曹、オイラの3名で山に取り付くことになった。
これじゃいつもの秩父鉱山探索と同じだわいなwww
この二人の山の強さは良く知っているので、安心といえば安心だが・・・


若社長は昨日探索した貯鉱場に行ってみるそうな。



<第1ベンチへの登り>


取り付き口からしばらくは急な踏み分け程度の道で、途中からズリに変化。
ズリもそれなりにきつい。息を切らして登ると、そのうち平場が現れる。
ここがいわゆる第1テラスね。
第1テラスには坑口がひとつある。



<第1テラスの坑口>


第1テラスの下のズリは不毛のズリとよばれ、鉱物っ気がないらしい。実際に探してみたが、石英脈すら見えずホントにただのトンネルズリでした。第1テラスの坑道は通洞なのかもしれない・・・。



<第1テラスにて休憩>


第1テラスから事前調査で調べた路頭やズリを探すが、何が何やらようわからなく、うろうろしながら登っていくと、第2テラスに到着しました。
第2テラスにも坑道がある。



<第2テラスの坑口>


第2テラスの坑道に入ってみると、中に入ってすぐのところにスカルンの鉱脈があった。ハンマーで掘り込んだ跡があり、おそらく鉱物採集家によるものでしょう。
スカルンの鉱脈は主に方解石・灰鉄輝石・石英からなるもので、特に灰鉄輝石はバラバラと坑道内の床に落ちていた。ぼくらはこの落ちていた鉱物を落ち穂拾いのように採集。



<第2テラス坑道内にて採集>


※坑道内の掘り込みをなぜ鉱物採集家の手による掘り込みと判断できるかは、鉱業者と鉱物採集家ではターゲットが違うからです。鉱業者は主に金属などの工業材料に役に立つモノが大量に含有する富鉱体を狙っていて、鉱物の結晶などはどうでもいいわけです。それに対して鉱物採集家は鉱脈のうちでもできるだけ隙間の多いものを狙います。隙間が多ければ結晶が育つ余裕があるからです。
また今回掘り込まれていた部分は鉄は含んでいるが比較的シリカ珪素)成分の多い灰鉄輝石の脈であり、こういう脈石からは効率よく鉄を精製できないため、鉱業者は稼業中でもこういった脈は廃棄します。
よって灰鉄輝石を掘り込むのは鉱物採集家と判断されるわけです。


坑道はずっと先につづいているようで坑口から20メートルぐらいまで歩いてみましたが、明らかに空気が悪くなるのがわかったので、途中であきらめて戻りました。埃っぽくなってきて珪肺になるおそれを感じたからです。
この第2テラスでの昼ご飯を摂りながら採集し、さらに探索を続けました。


長くなったのでここでいったん切ります。

つづく


甲武信鉱山採集行 その3
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20111104