栃木採集行<小来川・加蘇鉱山>その2
栃木採集行<小来川・加蘇鉱山>その1
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20100507
のつづきです。
小来川鉱山での採集品を披露しませう。
<小来川鉱山での採集品>
1.黄鉄鉱 pyrite FeS2
鉄の硫化鉱物で、金属鉱山ならどこでもある代物ですが、一応ありました、ということで・・・。
最大1mm程度の立方体結晶です。五角一二面体とかは見かけなかったな。
2.黄銅鉱 chalcopyrite CuFeS2
写真左の方に黄金色に輝いている部分。
銅の硫化鉱物で、銅鉱山ではもっとも普通に見る鉱物ですが、一応ありましたよ、ってことで。
ちなみに左側の白い脈は重晶石(BaSO4)です。黄銅鉱の脈石ですな。
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<2010/5/13追記>
後述しますが、白い脈は重晶石ではなく、方解石のようです。
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3.方鉛鉱 galena PbS
鉛の硫化鉱物で、これも金属鉱山ではお決まりの鉱物。
この小来川鉱山は銅主体で掘っていたみたいだけど、鉛の形跡はこの石ぐらいしか見つからなかったので、かなり量としては少なかったのかも・・・。
4.重晶石 barite BaSO4
硫酸バリウム、要は胃のレントゲン撮るときの造影剤につかうみんなが「バリウム」と呼んでいるモノ、と全く同じ成分でできた鉱物です。
この鉱山の金属鉱物の主な脈石がどうもこれみたいで、ズリにゴロゴロ落ちています。
劈開が板状で、最初は方解石かとも思ったけど、それにしては重いし、独特のドロッとした質感もあるので、重晶石と判断しました。
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<2010/5/13追記>
★同行したMottyさんのご指摘
『ボクもこの重いのは完全に重晶石だと思っていたんだが、
うちにある希塩酸(サンポールw)垂らしたら
ジュワッと激しく発泡してしまったんだよね。。。
採ってきた全ての標本のどの部分にも垂らしてみたが全部同じ。
重明石は発泡どころか塩酸には溶けないので
やはりこれは方解石だと思います。
ただ何でこんなに重いのかの説明は付かんのだが(苦笑) 』
★同行したTheophさんのご指摘
『Mottyさんもおっしゃっていますが、やはり方解石のようです。
結晶形やヘキ開面からそう判断しました。方解石は三方晶系、重晶石は斜方晶系。よって重晶石は特殊面以外はすべて直角に交わる形になります。ヘキ開が顕著で、重晶石は割れた面どうしが直角になります。
重く感じる理由は、私の採集したものは方解石と母岩の境目あたりに黄鉄鉱や黄銅鉱が入っている状態でした。なので見えないところに硫化鉱物が入り込んでいる可能性があります。 』
塩酸に溶けるんじゃ、硫酸塩の線は消えるので訂正します。
×「重晶石 barite BaSO4」 → ○「方解石 calcite CaCO3」
重かった理由は中に硫化鉱物(金属)が含まれていた、なるほどね。
それなら説明がつくや…
ドロッとした質感は気のせいかなぁ…。
でもスカルンとかで見る方解石よりもどっしりした感じがするんだよねぇ、ここのは。
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5.スコロド石 Scorodite Fe3+AsO4・2H2O
【訂正】 菱鉄鉱 siderite FeCO3
砒素を含む鉱物、写真の濃い緑色の皮膜状の部分。典型的な産状ですな。
ズリにわりとたくさんありました。
この鉱物は硫砒鉄鉱(FeAsS)が酸化してできると言われていますが、硫砒鉄鉱は見かけなかったな・・・。銅の二次鉱物(酸化によってできた鉱物)で有名な場所なので、酸化作用がはげしくて硫砒鉄鉱は全てスコロド石になってしまったのかなぁ、と思っています。
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<2010/5/14追記>
同行したTheophさんからこの鉱物は、スコロド石ではなく菱鉄鉱ではないかとのご指摘をうけました。顕微鏡写真からバラのような感じに見えるので、確かに菱鉄鉱かな、って気もしますね。スコロド石にしては、とんがったところが見えないなぁ〜、とは思っていました。
ちょっと調べてみたら、菱鉄鉱にも緑のやつがあるみたいなので…
方解石(炭酸カルシウム)がバリバリ落ちてるところだから、鉄の炭酸塩だってリッチでもおかしくないよね。
確かに砒素系の鉱物がある雰囲気がなかったんで、スコロド石って判断は的違いだったかもしれん。
ということで、これも以下のように修正。
×「スコロド石 Scorodite Fe3+AsO4・2H2O」 → ○「菱鉄鉱 siderite FeCO3」
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さて、ここからが、ここの名物アオアオミドミドの青緑パラダイスについて書いていきます。
何度も書いているとおり、ここ小来川は銅の二次鉱物が名物、銅の二次鉱物は基本が青と緑ばっかりなので、その判別が難しい。結構、鑑定に苦労しています
まずは安パイから…
6.孔雀石 malachite Cu2(CO3)(OH)2
英名ではマラカイト、顔料やっている人なら「マラカイトグリーン」といえば伝わるかな。
銅の炭酸塩ですな。写真の樹枝状という産状は、典型的な産状ですのですぐに区別がつきます。
7.藍銅鉱 azurite Cu3(CO3)2(OH)2
顕微鏡写真↓
鮮やかな濃いブルー(藍)の部分。英名のアズライトの方が通りがいいかな。
これも銅の炭酸塩。孔雀石とは水酸基(OH)の数の違うだけだけど、こんなに発色が違うんだよなぁ〜。
8.含銅アロフェン Cu-allophane Al2SiO5 H2O + Cuイオン
アロフェンはシリカとアルミナのゲルで、もともと無色なんですが、
銅イオンにより緑色に発色しているようです。
9.ポスンジャク石? posnjakite Cu2+4(SO4)(OH)6・H2O
拡大してみると↓
さらに顕微鏡で
写真の下の青い部分が…、ポスンジャク石、かな?
天青色・鱗片状ってことで、これじゃないかと…
銅の硫酸塩です…
自信ないです。
でも色的に見るとこんな感じの色かな…、と。
実物を見たことがないので、図鑑やらネットやらで照合したんだが…。
う〜む…
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<2010/5/14追記>
同行したTheophさんからこの鉱物は、ラング石ではないか?、とのご指摘を受けました。
ポスンジャク石はもっとグリーンぽいらしい。
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このポスンジャク石と、それと同質異像のラング石はここの名物らしいので、是非とも採っておきたいねぇ
ラング石のほうは、いまのとこそれっぽいのがないなぁ〜
もう少し標本の中を探してみるか…
このほか、いろんなタイプの青やら緑やらを採集してきたんだが、どれも今ひとつ決め手に欠ける。ほとんど孔雀石なんだろうなぁ〜。
今後もルーペ片手に鑑定続行です…
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