ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

ミネラルマーケットに行ってきた

この前の土曜日、6月5日、ミネラルマーケットに行って来ました。

ミネラルマーケット 2010
http://homepage3.nifty.com/suisho-toge/

そう、鉱物コレクターのためのフリーマーケットで、毎年この時期に飯田橋で開催されます。
そして、時を同じくして、新宿では「東京国際ミネラルフェア」が開催されます。

東京国際ミネラルフェア
http://www.tima.co.jp/event_23th.html

この2つが同じ時期に、しかも大江戸線を使えば1本という立地条件で開催されるのは、暗にハシゴしやすくしているからなのかな…

去年はしっかりハシゴして散財してきました。

去年のブログ↓
札束採集に行ってきた(2009/6/8)
http://d.hatena.ne.jp/damascus/20090608

去年のブログでも書いていますが、この2つの催し物、ちょっと指向が異なります。
ミネラルマーケットの方はほとんど国内産の鉱物で、しかも産地ラベルがしっかりしていて、主に標本を売っているって感じ。一方のミネラルフェアの方はどちらかというと世界中のきれいな鉱物を集めているというかんじで、産地ラベルがしっかりしておらず、どちらかというと一般とかパワーストーン系です。
それとミネラルフェアのほうは入場料を取りますので(一般1000円です!)、こちらの方は時間が余ったら行こうかなぁ〜的な感じでした。

ミネラルマーケットの開催時間は、10時半〜17時。
会場は、飯田橋レインボービルの会議室を3部屋のみ貸し切って行うので、午前中には会場に入っておかないと、いいものがなくなってしまう…
だけど、時間ぴったりだと芋洗い状態で冷静な判断ができなくなるので、まあ現地に11時半につけばいいかな、と、そんな雰囲気で自宅を後にする。

現地に着いたのは、11時15分過ぎ、丁度はけてきていいころかな…、思ったより混んでる。さてどうしようか、と思ったら、mixi内での石友(以下、ミク石友)のたかちさんと奥様に出会う。もう一通り見て、新宿に向かうとのこと。はや!

たかちさん夫妻を見送り、さてとりあえず向かって左側の部屋から見ていくことにする。そうすると、比較的立派な標本だが3個以上購入で半額の箱がずらりとならんでいる。その中に、ブラウン鉱の立派な結晶を見つける。ブラウン鉱とはマンガンの鉱物だが、普通は細かく緻密な層状となるため、結晶などはホントに見たことがない。
ほしい…、でも高い…、でも欲しい…
葛藤していると、ミク石友のふじねこさん、MaNi-さんと出会う。…
とまあ、こんな感じで石を物色、購入していくウチに、気がつくと今日の予算をとっくにオーバーしていた…。
やばい…。この時点(12時半過ぎ)で新宿行きをあきらめる…。

13時半過ぎ、ふじねこさんと二人で昼飯食って、だべって、2時半頃、また会場に戻る。
石川県からいらしているミク石友のpyromorphiteさん(pyromorphiteは緑鉛鉱のこと)を探す。彼はここで今日、標本を売っているとのことで…。mixi上では何度かメッセージを交わしたが、会うのは初めて。非常にさわやかでさっぱりとした方だった。石川で一緒に石取りにいきましょう、などと話し、彼の持ってきた金平鉱山の緑鉛鉱を購入。ここの緑鉛鉱は緑じゃないんだねぇ〜、なんて話していたら、緑鉛鉱は緑ばかりではないから、名前が悪いよねぇ〜、なんて話になった…。

そんなこんなで、夕方17時の終了までいました。
で、予算オーバーの中購入したのは標本9点、書籍1点。

このうちの5点は平松コレクションからの放出品らしい。倉庫がいっぱいで早く処分したいため、3個以上で半額にしたらしい。

平松コレクション↓
http://homepage3.nifty.com/suisho-toge/hiramatsu_collection.html

故・平松和夫氏は九州の著名な鉱物採集家だったようで(名前は聞いたことあったが、実はよくは知らなかった)、モノがすごく良かった。この5つはホントにお買い得だったと思う。
九州の採集家だけあって、九州の標本ばかりですが、ぼくは中々九州に行く機会がありませんので逆によかったかも…。


<↓以下5点は、平松コレクションからの購入品。>

1.ブラウン鉱 Braunite Mn2+Mn63+SiO12 長崎県西彼杵郡琴海町戸根鉱山

拡大すると↓

黒く光ってる結晶の部分(全体に散らばっていますが)が、ブラウン鉱です。
このブラウン鉱はスゴイです!ブラウン鉱の結晶なんざ見たことがなかった(図鑑を
除く)。これを買うのに相当悩んだのは前述の通り。
ブラウン鉱はマンガン鉱山では普通に出る石ですが、結晶となると世界的にも珍しらしい。
この戸根鉱山の名物のようで、図鑑にも載っている有名なものです。
福岡がいなかのTheoph氏は行ったことあるらしい…


2.緑廉石 Epidote Ca2(Fe,Al)3(Si2O7)(SiO4)O(OH) 福岡県田川市磁石山

緑色の柱状の結晶部分全て。
緑廉石自体は大して珍しい石ではなく、長瀞などにある結晶片岩などにも普通に含まれています。めずらしいのだと、信州の焼き餅石かな…
でもこの緑廉石はサイズがでかい!しかも比較的廉価で購入できました。
前述のTheoph氏曰く、磁石山は緑廉石で有名な産地だそうな。


3.緑柱石 Beryl Be3Al2Si6O18 佐賀県佐賀郡富士町杉山

水色の柱状結晶。化学式を見ての通り、ベリリウムを含む鉱物。
緑柱石とかベリルとかいうよりも、アクアマリンだのエメラルドだのと言った方が一般には通りがイイかな…。これは水色なのでアクアマリンになるだろうね。
この産地も図鑑とかで結構よく見かける場所。安かったし、1つぐらい持っててもいいかなと思い購入。日本産のベリルはまあこれぐらいのレベルがやっとかな…


4.菱鉄鉱 siderite FeCO3 長崎県東彼杵町虚空蔵山林道


拡大すると↓

拡大写真の岩の隙間にある褐色で丸っこいやつが菱鉄鉱。鉄の炭酸塩。
菱鉄鉱ってのはいろんな色や形があってなかなか面白い。前のブログで小来川鉱山で拾った菱鉄鉱?は、一見スコロド石っぽい緑色だったしなぁ〜。

この産地も結構有名みたいだね↓
http://www.weblio.jp/content/%E8%8F%B1%E9%89%84%E9%89%B1

九州の産地は、ホント大雑把にしか知らないなぁ〜


5.ミメット鉱 Mimetite Pb5(AsO4)3Cl

拡大すると↓


岩の隙間に散らばっている黄色っぽい結晶の部分です。安かったので購入。
鉛の砒酸塩なんだよねぇ〜。いかにも砒素って感じの色ですな。

この産地もここに載ってるねぇ↓
http://www.weblio.jp/content/%E3%83%9F%E3%83%A1%E3%83%83%E3%83%88%E9%89%B1

<ここまでが平松コレクション。>


6.灰鉄石榴石 andradite Ca3Fe3+2(SiO4)3 奈良県吉野郡天川村北角川迫

拡大すると↓

一時期、鉱物界を一世風靡した天川村の「レインボーガーネット」です。
ベタですが、実は1個も持っていなかったんで、1個ぐらいはもっててもいいかと・・・。
ブームもようやくおちついてきて、だいぶ安くなりました。

天川村レインボーガーネットについて↓
http://www.gaaj-zenhokyo.co.jp/researchroom/2005/2005_12b-01.html


7.バラ輝石 rhodonite (Mn,Ca)5Si5O15

拡大すると↓

東北の田野畑鉱山というマンガン鉱山の鉱物。
バラ輝石の名称よりも英名の「ロードナイト」のほうが一般には通りがいいかな?パワーストーンとかそれ系の人たちは「インカローズ」なんて呼んでるよね。
ピンクのところ全体がバラ輝石ですが、この標本は大きな結晶がいくつかついています(光っているところ)バラ輝石もマンガン鉱山で採れる普通の鉱物ですが、大きな結晶となるとなかなか珍しい。まあ珍しさはブラウン鉱の結晶ほどではないが・・・。


あと、去年に引き続き、神岡鉱山の出物が結構出品されていました。去年売ってたオジサンと同じ方が出店。神岡の関係者とパイプがあるようで、神岡のものなら相当在庫があるそうな。
え?神岡を知らない・・・?スーパーカミオカンデで有名な神岡ですよ。
三井金属がやってた日本有数の金属鉱山です。

神岡鉱山
http://www.mitsui-kinzoku.co.jp/more/kouzan02.html
http://www7b.biglobe.ne.jp/~mosomoso/kamiokamine.html

去年は、神岡のべっこう亜鉛に近い閃亜鉛鉱を購入しました。
今年も以下の2点をば…。
やはり日本を代表する鉱山の標本は一通り持っておきたいものです。特に金属鉱物マニアのぼくにとっては必須事項です。

<↓以下の2つは神岡鉱山の鉱物>

8.方鉛鉱 galena PbS 岐阜県神岡鉱山栃洞坑

ベタですが、鉛の硫化鉱物。鉱山が稼業中には、採掘の対象となった主力の鉱物のひとつ。
この金属光沢の全てがそうです。サイコロ状に割れる(劈開)があるのが特徴です。
1個ぐらい所持したくて…。


9.魚眼石 apophyllite KCa4Si8O20(F,OH)・8H2O 岐阜県神岡鉱山栃洞坑

こちらも神岡鉱山の名物です。前回も買おうと思って迷ったモノだが、今回は購入しました。


このほか実は今回狙っていたのが、神岡鉱山産の緑色の閃亜鉛鉱。

緑の閃亜鉛鉱(ググってみたが、これしか見つからなかった)
http://www.ne.jp/asahi/tak/minerals/Gallery/Sphalerite01.htm
http://www2.odn.ne.jp/~aab06570/japanminerals/21gifu.html

参考:閃亜鉛
http://www.weblio.jp/content/%E9%96%83%E4%BA%9C%E9%89%9B%E9%89%B1

普通、閃亜鉛鉱は黒〜褐色なのだが、時折、緑色のものがあります。この緑色の要因は、不純物の微量の金属(何だったかは忘れた、コバルトとかカドミウムとかだったかも…)によるものだと言われています。
去年は出ていたのですが、今年は見あたらなかったな…。去年はこの緑の閃亜鉛鉱とべっこう亜鉛とで迷ったのだが、緑のほうは小さくて高かったのであきらめたのでした。
去年買っておけばよかったかな・・・

あと、他にも神岡鉱山の鉱物には魅力的なモノがたくさんある。方解石とか、緑鉛鉱とか、珪灰鉄鉱とか、異極鉱とか…。これらはまた追々集めていくことにしよう。


あと、マイミクのpyromorphiteさん(pyromorphiteは緑鉛鉱のこと)のブースで、文字通りの「緑鉛鉱」を購入。

10.緑鉛鉱 pyromorphite Pb5(PO4)3Cl 石川県小松市金平鉱山

鉛のリン酸塩の鉱物ね。
緑鉛鉱というと神岡とかのド緑のイメージしかなかったので、この緑鉛鉱にはビックリしました。でも実は、この色の緑鉛鉱もわりとあるみたい…。
いずれにしても、珍しさから1つ購入させていただきました。pyromorphiteさん、ありがとう!

ド緑の緑鉛鉱↓
http://eeyan.biz/specimen/kamioka/0011pyromophite.html

緑鉛鉱↓
http://www.weblio.jp/content/%E7%B7%91%E9%89%9B%E9%89%B1


標本の他に、書籍も購入↓

11.高田雅介著 「日本産鉱物の結晶形態」 

中身は↓

事前にこの本が販売されるのはしっていたけど、中身を見てみたらこれは買うしかない!っと。日本産のほとんどの鉱物の産地ごとの結晶をスケッチした本です。情報量がスゴイ!
しかもこの本、自費出版だそうな…。1冊3000円は安いので、購入しました。


購入品の話はここまで…。
17時にミネラルマーケットは終了しましたが、その後、mixi内の鉱物仲間(「MHK」という略称があるが、何の略称かは秘密)との飲み会がありました。

飲み会の様子↓

テーブルの上には、グラスとお皿の間に石がゴロゴロ。鉱物マニアの飲み会はいつもこうなります。購入した石、持ってきた石をみんなで見て、あ〜でもないこ〜でもない…と。
こうして飯田橋の夜は更けていきましたとさ…、おしまい。

あ、そうそう、書き忘れるとこだった。
鉱物仲間のMottyさん、Theophさん、あぎょうさん、MaNi-さん、ふじねこさん、ののきさんから第2子の出産お祝いプレゼントを頂きました。
どうもありがとうごうざます!!
この場を借りて、御礼申し上げます。