ロバのコラム

『ロバのティールーム 』 https://www.robanotearoom.com のコラムです。

鉱物美食倶楽部・第1回勉強会

先週の日曜日、鉱物美食倶楽部の勉強会に行って来ました。

「はて?鉱物美食倶楽部とはなんぞや?」
という読者もいらっしゃるでしょうから、簡単に説明します。

鉱物美食倶楽部は今年5月頃から活動を開始した鉱物採集のサークルです。
で、誰でも入会できるオープンな団体ではなく、あくまでもこちらから声を掛けて入ってもらう、という秘密結社的なもので、名前の由来はアニメ「美味しんぼ」の海原雄山が主催する「美食倶楽部」をから来ています。
で、その「鉱物美食倶楽部」の中で、フィールドばかりではなく勉強会もやっていこう(言い出しっぺはボクです)っつうことで、今回、その第1回が開催されました。

今回のテーマは「スカルン鉱床」。
まあ、テーマはノリでテキトーに決めてしまった観があります。ぼくが通っている秩父鉱山はスカルン鉱床ですので、勝手がわかっているのと、自分の向学のためです。

勉強会の風景

銀座ルノワールの貸会議室マイスペースを借りて、行いました。

http://www.ginza-renoir.co.jp/myspace/index.htm

以前、ぼくが運営していた哲学思想系サークルのポストモダンクラブ(現在休眠中)と同じスタイルです。

ポストモダンクラブ
http://www.pmc.jpn.org/pmc/

まあ、前のサークルでのノーハウが役に立ったってことかな…。手法は全く一緒ですので…。
14時開始で、17時まで部屋をとっておきましたので、正味3時間。
内容は、ボクとTくんがレジメを作ってきて、それを説明・議論するってスタンスです。
ボクが担当したのは、スカルン全般について。Tくんはドロマイトスカルン。

まず、スカルン鉱床の定義から入り、鉱物学と鉱床学の定義の仕方の違いについて話し、
そしてスカルン鉱床で起こっている化学反応について、
つまり「石灰岩」と「シリカ含有熱水」が反応して、「スカルン鉱物(カルシウム珪酸塩)」が出来る過程について、化学式を用いて説明しました。

そして、その後、
 ・スカルン鉱床の種類(高温スカルン、低温スカルン、ドロマイトスカルン…)、
 ・スカルン鉱床で取れる鉱物(スカルン鉱物、金属鉱物…)について、
 ・スカルン鉱床の産地、鉱山
の順に説明しました。これで正味1時間半弱かかったなぁ〜。

そのあと、Tくんから、ドロマイトスカルンについての講義がありました。
講義後は、持ち寄った標本の品評会、今後の予定を話して、閉会しました。

閉会後は…、そう、飲み会です(この辺の流れも前の哲学思想サークルと同じだな…)。
結局21時ぐらいまで呑んで、ホントのお開きになりましたとさ。

あ、そうね。
スカルン鉱床ってのは何?って人に一応説明を…。レジメに載せた定義を貼っておきますね。

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1)スカルン(スカルン鉱床)の定義

「鉱物観察ガイド p131左上 山梨県甲州市田野」より
 花崗岩など深成岩の接触帯で、石灰岩などカルシウムを含んだ岩石が花崗岩からの熱や物質の供給を受けて生成されるカルシウム珪酸塩の集合をスカルンという。スカルンの多くは、ここのように石灰岩起源だが、苦灰岩起源(※<附記>後述:ドロマイトスカルン)のものや、玄武岩など塩基性岩起源のものもある。スカルンが生成される時は単純な熱変成作用だけのこともあるが、物質の移動が伴われることが多いため、変成作用の定義から外れることもあると考えられている。ここでも、石灰岩中の炭酸ガスが抜け、珪酸がその代わりに入るということで、このような地質現象を交代作用ということがある。そして特に供給された物質の内容を限定したい場合には、珪酸分の供給があれば珪酸交代作用、硼素の供給があれば硼素供給作用という。スカルンは金属鉱床を伴うことがあり、これをスカルン鉱床と総称することもある。関東地方では、埼玉県秩父鉱山などがその典型的例の1つである。


東京大学総合研究博物館HP>「東京大学コレクションXIV Systema Naturae 標本は語る」
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2004SystemaNaturae/h_21_04.html
スカルン鉱床
 熱水が岩石の割れ目や断層を通って移動した時、周辺の岩石が熱水と大規模に反応することがある。 例えば、周辺の岩石が石灰岩などの炭酸塩岩であると、熱水との反応が大規模に起こり、その過程で タングステンモリブデン・錫などの酸化鉱物や鉛・銅・鉄・亜鉛などの硫化鉱物が形成される。 これがスカルン鉱床で、高温ではタングステンモリブデン、錫、鉄など、また中・低温では鋼、亜鉛、 鉛などの鉱床が形成される。岩手県釜石鉱山、福島県八茎鉱山、埼玉県秩父鉱山、岐車県県神岡鉱山 などが代表的な鉱山である。本展では、釜石鉱山(鉄・銅)、和賀仙人鉱山(鉄)、赤谷鉱山(鉄)、八茎 鉱山(タングステン・銅)、秩父鉱山(銅・鉛・亜鉛金・銀・鉄)、神岡鉱山(鉛・亜鉛・銅)、 都茂鉱山(銅・鉛・亜鉛)、長登鉱山(銅・コバルト・アンチモン)、尾平鉱山(錫・ 銅・アンチモン・金) の鉱石を展示した。

つまり、スカルン鉱床とは、接触交代鉱床の一種。マグマ(熱源)が接触する相手は炭酸塩(CO32-)。ただし、熱水も絡むので、熱水鉱床ともいえる。

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以上!

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http://www.k5.dion.ne.jp/~himar/